東北学院大学

法学部 法律学科

学科長あいさつ

法律学科長
黒田 秀治

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本年度から、五橋新キャンパスでの授業が始まることになりました。皆さんはその第1期生として、これから4年間五橋・土樋のほぼ同一のキャンパスでじっくり、落ち着いた4年間の学生生活を送ることになります。同じ場所で充実した学生生活を送れることによって、勉学は言うに及ばず、学部間の交流や今まで難しかった3年生以上とのつながりも盛んになってクラブ・サークル活動も不便がなくなるでしょう。仙台中心部へのアクセスは10分もかからなくなりますから、多くの学生が行っているアルバイト先への移動も容易になることでしょう。

さて、皆さんは4年間法律学・政治学を勉強することになりますが、法律についてはどのようなイメージをもっているでしょうか。多くの新入生は、法律は国会がつくるものであること、法律を破るとこれは犯罪を実行することになり、警察官によって逮捕され、裁判ののち判決次第では刑務所に収監されてしまう。このようなイメージではないでしょうか。皆さんは18歳以上ですから国会議員の選挙権を持っています。とはいえ、誰に投票したらいいのかわからないし、まして刑事ドラマは見たことあるが犯罪など自分とは関係ない、と思っているかもしれません。そして多くの新入生は、法律をもめごとの起こった時の解決ツールとして考えているのではないでしょうか。これは確かに正しいのですが、もめごとが顕在化する前から、法は身近な生活から、国際的な重大事件・問題までわれわれの市民生活・社会生活とは切っても切り離せないものです。

すでに仙台でアパートを借りた際には賃貸借契約を結んでいますね。水道・電気・ガスなどの生活インフラも契約を結ばなければ利用できません。みんなが使っているスマホ・パソコンも同様です。ロシアによるウクライナ侵略を契機に、光熱費の値上がりはすさまじいですし、コロナ禍の下でバイト先を失ってしまった先輩も少なくありません。これらすべての事象は法を基準にいろいろな分析が可能なのです。たとえばスマホの故障の修理を考えれば、修理の特約を結んでいれば、無償での修理をみんなは主張できます。その意味でやはり法律はもめごとの解決ツールとしての役割を典型的に果たすのですが、でももっと深く考えればそのような決め事は妥当なのかという議論もできます。ロシアによるウクライナ侵略など遠い世界の出来事のように見える紛争も、侵略の法的分析にとどまることなく、武力紛争を取り巻く要因を国際法・国際政治的に研究しないと、紛争の解決もこれからの抑止も難しいでしょう。要するに、法はわれわれの日々の生活の隅々まで影響を与えるので、法はもめごとの解決ツール以上の役割を果たしていることがわかります。

いままでのお話しから分かるように、法律学は六法文書に書かれた条文を暗記する学問ではありません。もっとも、最初はやはりいろいろな知識を身につけなければならず、退屈するかもしれません。しかしそのあとで、法的知識を身につけたうえで、カオスな国内の政治・社会・経済問題や国際情勢を整理し、分類する知恵を駆使することができ、納得できなかった事象を法的にはこういうことだったとわかる歓び・楽しさを味わうことができます。

これから始まる1週間余りのオリエンテーションでは、勉強の方法を含め学生生活を過ごすための大事なツール・コツ・スキルなどを教わります。これは真剣に聞いてください。そして、恥ずかしがらず、オリエンテーションリーダーの先輩やグループ主任の先生にわからないことを尋ねてください。これも恥ずかしがらず、その期間中に同じグループの学生に話しかけ、知り合いをつくりましょう。LINEの友達やグループを作るのもいい考えです。

われわれ法学部の教員は新入生の皆さんを心から歓迎します。