東北学院大学

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文学部 歴史学科

教員紹介

教員プロフィール

河西 晃祐 教授(日本近現代史)

研究テーマ

日本「南方」関係史。主に大正・昭和期を中心に、当時「南方」と呼ばれていた東南アジアと日本との国際関係史を専門とする。

研究トピック
井伏鱒二がみた「解放」でも「植民地支配」でもない「大東亜共栄圏」の姿とは
当時発行されていた雑誌『南方画信』と河西近著

当時発行されていた雑誌『南方画信』と河西近著

余り知られていませんが、『黒い雨』や『山椒魚』をかいた井伏鱒二は、1942年に宣伝班員として「大東亜共栄圏」下のマレーシアとシンガポールに派遣されています。同年2月、マレー半島を南下した日本陸軍は、対岸にあるシンガポールへの上陸作戦を支援するために、猛烈な砲撃を開始します。砲弾が飛び交う下で、従軍記録をとるはずだった井伏は何をしていたのか。

ペンネーム通りに釣りが大好きだった井伏は、ジョホール海峡の岸壁で投網を打って、初めて目にする魚を捕って喜んでいました。井伏はその後も陸軍の軍属としてシンガポールに居住しますが、現地の子供と遊びながら異文化体験を満喫します。

「大東亜共栄圏」は結果的に、それまで縁もゆかりもなかった数十万人の日本人に東南アジアを体験させました。日本人はそこで何を見て、何を感じたのか。そして何を見ることが出来なかったのか。戦争も異文化交流の一形態であるとすれば、「大東亜共栄圏」とは究極の異文化体験の場であったといえます。いままで歴史学では重視されてこなかった、文学作品や戦争画などを史料としながら、「解放論」にも「植民地支配延長論」にも収まらない「大東亜共栄圏」の意味を考えています。

河西ゼミの卒論例
  • 「雑誌『週間小国民』にみる子供像の変遷」
  • 「“法”から“世論”へ ―明治・大正期における同性愛問題の展開―」
  • 「十五年戦争下の『戦争画』と従軍画家について」
最近の著作
岩波講座 東アジア近現代通史
  • 『帝国日本の拡張と崩壊―「大東亜共栄圏」への歴史的展開―』 法政大学出版局 2012年
  • 「『独立』国という『桎梏』」『岩波講座 東アジア近現代通史』第6巻 岩波書 2011年
  • 「『帝国』と『独立』-『大東亜共栄圏』における『自主独立』問題の共振」『年報 日本現代史』10 2005年