研究最前線リポート電子工学専攻 06

Professor Report

オンリーワンの技術を駆使して
世界初の薄膜トランジスタ開発を。

◎ 原 明人 教授

フレキシブル基板や3次元方向への薄膜トランジスタ(TFT)の集積を目指し、半導体結晶成長技術・プロセス技術・新構造デバイスに関して総合的に研究しています。

具体的には「フレキシブルデバイス・ウェアラブルデバイスに向けたナノ薄膜トランジスタの開発」「トリリオンセンサ社会に向けた半導体センサの開発」「光電子集積回路の実現に向けたⅣ族系薄膜トランジスタの開発」「シリコンおよびゲルマニウム薄膜トランジスタの高性能化・高機能化」「太陽光発電用半導体の結晶工学」「半導体中のナノ構造体の電子物性ならびに電子スピン・核スピン検出および制御」などが研究テーマです。

これらの研究に取り組んだのは、液晶ディスプレイなどのガラス基板上に集積回路を形成する技術が必要とされる時代を見通し、それを実現するためには、高性能・高機能な薄膜トランジスタの開発が必須だと考えたことがきっかけでした。

現在は特に、フレキシブルなプラスチック基板上に世界最高性能の薄膜トランジスタを形成すること、さらに、そのトランジスタを使って高速・低消費電力な集積回路を形成することに力を入れています。

当研究室では、デバイス設計・デバイス作成・デバイス計測など、小規模ながらも全ての半導体研究を実践することができます。オンリーワンの技術を駆使して、世界初の薄膜トランジスタ開発を実現したいと思います。

Student Report

博士前期課程2年 生体電子工学研究室
平塚 凌

生体情報の計測・解析精度をプログラム開発で向上させたい。

脳波に混入するアーチファクト除去をテーマとして研究しています。脳は常に何らかの活動をしているため、脳波を計測する際には、必要な成分だけでなくさまざまなアーチファクトが混入します。それらを除去するため、混入したデータ区間を捨てたり、被験者にまばたきを我慢してもらったりするのが従来の方法でした。私の研究は、計測したデータからアーチファクトのみを抽出・除去するプログラムの開発により、データを無駄なく使って解析精度を向上させ、被験者の負担軽減や実験回数の削減にもつながることを目指しています。生体情報は、同じ実験内容でも毎回同じ結果が得られるとは限らず、そこが難しさであり、面白さでもあると感じています。現在のプログラムにディープラーニングを絡めてみるなど、今後もいろいろな方法を試していきたいです。