研究最前線リポート環境建設工学専攻 04

Professor Report

ライフサイクルアセスメントを用いて
地球環境にやさしい建築物を。

◎ 鈴木 道哉 教授

建物の建設から運用、解体に至るまでのライフサイクルで排出されるCO2などの環境負荷を算出する手法を用いて、さまざまな環境建築や省エネ設備システムのライフサイクルエネルギー消費量や、ライフサイクルCO2排出量などを求めることができます。

さらに、この結果を利用して、ライフサイクルにわたる環境影響を把握することが可能となります。

近年では、年間で使用するエネルギー量と太陽光発電などの再生可能エネルギーで生み出すエネルギー量がほぼ同等となる、ZEB(Zero Energy Buildings)の導入が推進されていますが、ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)手法を活用することにより「省エネルギー性に富み、CO2排出量の小さい、地球環境にやさしい建築物」の建設や、さまざまな省エネ設備システムの研究・開発・適用が可能になります。

こうした研究は、今後ますます重要性が増してくる分野であり、発展が期待されています。※なお、本研究における分析は、日本建築学会のデータベースなどを用いて行っています。

Student Report


地震応答解析の研究を通して、高架橋の安全性を高めたい

博士前期課程2年 構造振動学研究室
三浦 大輝

新幹線高架橋などの構造物に対し、地震動の継続時間が地震応答にどう影響を及ぼすかを研究しています。同形式の構造が半無限に連続する構造物に対して地震応答解析を行う場合、解析対象の一部を切り取り、その両端を自由境界として扱うのが一般的です。しかし、隣接する構造物との相互作用を考慮しなければ、現実に即しているとは言えません。そこで本研究では、解析対象を「マス‐バネ系モデル」や「2次元はり要素モデル」でモデル化し、その両端に仮想の粘性境界を設け、相互作用を考慮した構造解析を行っています。

本研究の動機は、阪神淡路大震災の記録を見て、倒壊した高架橋に衝撃を受けたことでした。その後、東日本大震災も経験し、設計時には多様な地震動について検討することで、高架橋の安全性を高めたいと考えました。

今後はさらに多くの地震波を用いて解析し、さまざまな観点から相関性などを発見して基礎データを蓄積し、インフラ保全・復興などの形で社会貢献していきたいと思います。