研究最前線リポート電気工学専攻 04

Professor Report

IoT時代の安心・安全を守る
軽量暗号向けのセキュリティ技術を。

◎ 吉川 英機 准教授

本格的なIoT(Internet of Things)時代を目前に控え、身の回りのあらゆる電子機器が情報ネットワークに接続される状況が急速に広がる中、ICカードやICタグ、車載マイコンなどの小規模デバイスにも実装できる、軽量暗号アルゴリズムが提案されています。

これらのアルゴリズムは、セキュリティ対策として、暗号化されたデータから秘密鍵を導くことが困難であるように設計されています。しかし、これらのデバイスから漏洩する電磁波を解析することにより計算途中の電力波形から秘密鍵を導出する、差分電力解析と呼ばれる攻撃法が知られており、軽量暗号に対しては十分な対策がされているとは言い難い状況です。また、これらの対策をハードウェアで実装すると、回路規模や計算処理が大きくなり、軽量暗号のメリットが失われてしまうという問題もあります。

そこで、私は「IoT向け暗号システムにおけるサイドチャネル攻撃に対する対策技術」というテーマを設定し、安全性と軽量性の両面を持ち合わせたセキュリティ技術について検討するため、軽量暗号向けの対策技術の開発と実装、およびその回路規模の評価を行う研究に取り組んでいます。

私の研究室は、楽しみながら学べる場であってほしいと思います。数学力やプログラミング力などの基礎学力を身につければ、楽しみが広がるはずです。ともに安心・安全な情報ネットワーク技術の実現を目指しましょう。

Student Report

博士前期課程2年 先端電力工学研究室
齋藤 明登

クリーンで無尽蔵な電源の、より実用的な安定供給を目指して。

再生可能エネルギー発電有効利用に向けた、ハイブリッドマイクログリッドの安定化をテーマに、実験と検討を行っています。再生可能エネルギーは、クリーンで無尽蔵な電源として近年めざましく導入が進んでいますが、従来の化石燃料発電などによる制御可能な電源と異なり、自然の影響を受けて変動するため、発電と消費を同時に行うことが困難です。そこで注目されているのが、複数の発電方法と蓄電池による分散型電源で需給バランスを整える、マイクログリッド技術です。当研究室は、主任教授の呉先生が考案された、直流・交流2種類の給電システムを含むマイクログリッド実験装置を、世界で唯一保有しています。この恵まれた環境を活用して、将来的には一般住宅にも普及できるシステムの実現を目指し、徹底的に研究を続けていきたいと思います。