研究最前線リポート環境建設工学専攻 08

Professor Report

理想的な建築・都市空間とは何か、
人の感覚との相関から考える。

◎ 恒松 良純 教授

建築計画は、建物の利用しやすさなどを探究する分野で、建築の設計やデザインと密接な関係にあります。中でも私は都市景観をテーマとしており、主に資料作成という形で設計を支援しています。具体的には、建築・都市空間における心理的影響と物理的要因に関する相関分析、および諸制度との比較検討を行っています。

人々が旅行をすると、その地域のまち(街並み)や建物を見て、何かしらの感銘を受けます。また、そこで生活している人々も、快適性の有無などを日々感じています。どのようなまちであれば人々が「美しい」「心地よい」と感じるのかを調査して、建築デザイン上どうしたら再現でき、維持できるかを研究するわけです。

美や快適性の感覚は人によって異なりますから、いかに多くの人がそう感じてくれる都市景観を探求するか、それがこの研究の難しさでもあり、大きな魅力でもあります。同じように取り組んでも、地域によって全く異なる結果が出ます。さまざまな地域で実践的に取り組ませてもらう機会に恵まれ、そのつど新たな問題点が発見できることが、研究を継続していくモチベーションになっています。

建築計画は人々の生活に密着している分野ですし、対象も住宅から公共建築物まで多岐にわたります。研究すべきテーマは幅広くあり、深く追究するほど面白くなります。共に取り組んでみませんか?

Student Report

博士前期課程2年 地盤力学研究室
新田 悠生

砂の多様な挙動を再現できる新たな構成モデルの開発に挑む。

私の研究テーマは、砂の内部構造を考慮した弾塑性構成モデルの開発と検証です。飽和砂地盤の液状化現象や緩斜面の流動現象などを、個別の構成モデルで再現しようとする試みは、これまでに多くの研究者によってなされてきましたが、より多様で複合的な砂の挙動を再現できる構成モデルを開発したいと考えています。砂の微視的構造の変化を整理して数式化し、これを既存モデルに取り入れて新たなモデルを試作・検証するというプロセスで研究しています。地盤を構成する材料の中でも、粘土などはかなり研究が進んでいますが、砂の性質にはまだ多くの謎が残されています。想定していた結果が得られず、苦しむことも少なからずありますが、そこが面白さでもあります。砂という不思議で魅力的な研究対象に、今後もとことん向き合っていこうと思います。