東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(5)

2015年09月08日

【シュテーデル美術館】
150908-1-1.JPG ようやく目指す美術館に入場し、最上階の古典美術から鑑賞を始めました(入場券はお祭りに合わせたらしい特別のワッペンでした。シュテーデル美術 館のワッペンの写真)。多くの日本人にとってはフェルメールの「地理学者」が所蔵されていることで、本美術館は有名かもしれません。確かにこの絵の前で10分も動かないおじさん(=日本人ではない!)もいました。その間、近くにいたのは妻と私の二人だけ。空いています。しかし、どちらかと言えば暗い宗教画が多い中で私の目に飛び込んできたのは、ボッチチェルリの絵です。売店ではたった1ユーロで解説本が売られていましたから、記念に買いました(シュテーデル美術館の解説本の写真)。シエナ派の優美な絵なども含め、あの時代のイタリア美術はすばらしい。ドイツの絵は、残念ながらルネサンスイタリア絵画には到底及びません。

150908-1-2.JPG【フランクフルトの街】
 尚、本日は休日のせいか町中の清掃が行き届かず、道路の所々にゴミが散財しています。建物の壁には稀に落書きがあります。昼日中から酔っ払って芝生に仰向けになっている男性もいます。フランクフルト中央駅の地下などは、怪しげな男性が3,4人固まって不気味な雰囲気を醸しだし、悪臭がほのかに漂ってさえいます。金融の中心地として立派な高層ビルがあり、今も至る所で新築工事をしている活力溢れる街は、その一方で、正直なところ汚い。
 夕食後、地図だけから見るとホテルまでの最短距離だったのである通りを辿っていくと、異次元の空間に足を踏み入れてしまいました。 道にはゴミが散らかり、地べたに座り込んだ外国人男性が数人でおしゃべりをしながら、たばこを吸ったり酒を飲んだりしています。通行人には鋭い、あるいは鈍い視線を投げかけ、異邦人であるという「気」が彼らの体全体から立っています。ふと左手の7、8階建ての堅固な建物に目をやれば、各ベランダには赤い提灯が点灯し、それぞれに女性の像が飾られています。建物の入り口には、いかにもそれらしいシルエットや文字が躍っています。危険な匂いがします。買春が合 法化されているドイツでの最大の問題は、おそらく東欧諸国やアフリカ、そしてアジア特にタイからの出稼ぎ、更には人身売買です。
 おそらく、そのアンバランスな融合が、「ドイツに来た」という印象を抱かせる時でもあります。

法学部教授
陶久 利彦