陶久教授のドイツ留学日記(35)
2016年03月17日
【日本人会と5年前の震災】
1月23日(土)には、ゲッチンゲン在住日本人会が開かれました。その席で、6年の在独研究生活を経て今般博士号を取得したUさんを知りました。何と、東北大学のご出身。お父さんが6年間シュツットガルトに留学していたときに、ドイツ人女性と知り合い、彼が誕生したとのこと。懐かしい仙台の話やらを交わしていたのですが、そのうち5年前の震災に話題が及びました。彼の知人も何人か津波の犠牲になったそうです。
そのとき彼はゲッチンゲンで震災支援事業を熱心に呼びかけ、講演会を何度も開催したところ、義援金が沢山集まり、その額はロンドン市民のそれを上回ったとのことです。当時、ドイツ各地で被災者への支援活動が活発化したことは私も知っていましたし、今でも例えばライプチッヒから定期的に弦楽四重奏団が来仙し、復興支援演奏会を催しています。しかし、こんなところでそのときの活動の中心人物に巡り会うとは、思いも寄りませんでした。(写真は、新市役所前にある福島原発事故記念碑)
博士号を取得した人は、旧市庁舎前の「がちょう姫」の像に祝福のキスをするのだそうです(経緯については、例えばhttps://www.uni-goettingen.de/de/358248.htmlに説明があります)。当日は-14度まで気温が下がり、日中も-6度くらいでした。凍てつく寒さに震えていた「がちょう姫」も、博士号取得の高揚感に満たされたキスで少しは暖を取れたでしょうか。(写真のがちょう姫像は、https://de.wikipedia.org/wiki/G%C3%A4nseliesel-Brunnen_%28G%C3%B6ttingen%29から転載)
法学部教授
陶久利彦