東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(42)

2016年04月06日

【現地で初めて知る芸術家】
 ドイツに来るまでは全く名前を知らなかったか、ほんの少し耳にした程度だったものの、当地で現物に触れると途端にその人や作品についてもっと知りたくなるような、魅力的な人がいます。例えば、15,6世紀に活躍をしたTilman Riemenschneiderや、Veit Stossです。私がかつて語学学校の生徒として、ドイツで最初の生活を始めたのは、ローテンブルクという小さな観光地でした。その教会に、リーメンシュナイダー作の素晴らしい祭壇があるのです。近郊の大小様々な町に彼の作品は点在していますから、ちょうどオースターの頃に彼の作品を見るためだけに、街々を経巡ったこともあります。
 中世芸術の一大テーマは「悲哀」だったそうですが、彼の木彫りの彫刻に見られる、ちょっと垂れ目で愁いを帯びた表情はまさにその代表なのでしょう(写真左下は、ハノーファーの美術館にある彼の作)。じっと見ていると、切なくなります。一方、シュトスは、ニュルンベルクやポーランドのクラコフの教会に代表作が残されています。(もう一つの写真右下は、同じハノーファーの美術館にある別の作家の彫刻です。)

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 今回はちょっと現代の作家達に関心が移行しています。今のところは、Paula Modersohn-Beckerであり、Emil Noldeであり、Ernst Barlachです。すべて、ちょうど20世紀初頭から活躍をし、ナチ時代におしなべて「退廃芸術家」の烙印を押された人たちです。

法学部教授
陶久利彦