東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(51)

2016年05月06日

【エルンスト・バールラッハ(Ernst Barlach)】
 彼の彫刻は、一般によく利用されているドイツ旅行案内書でも触れられています。実物を初めて見たのは、ブレーメンのKunsthalle。ドイツ表現主義作家達の作品が並んでいる部屋に、たった一つ木彫りの彫刻が置かれています。羊飼い。正面から吹き付ける風に抗って子羊を自分のマントの下に庇っている像です(写真左)。非常に宗教的なモチーフであるばかりか、鑿の当て方や身体の形がちょっと円空仏を彷彿とさせます。
 ハンブルク近郊にあるErnst Barlach Hausには、思ったほど多くの作品が残されているわけではありませんでしたが、それでも一つ一つの彫刻は極めて精神性が高く、印象深いものです(写真中、右)。彼は、彫刻以外にも、絵画や演劇、小説やエッセイの世界でも活躍した後、ナチ期に亡くなりました。もっと彼のことを知りたい、と思わせる芸術家です。

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法学部教授
陶久利彦