東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(62)

2016年06月03日

【自然災害の少ない、豊かな国土を持つドイツ】160603-1_1.jpg
 熊本地震をはじめ、日本の自然災害ニュースに接するたび、ドイツはまことに恵まれた土地だと感じます。確かに、冬は寒くて暗い。緯度が高いのですから、冬季の日照時間が短いのは当然です。しかし、ドイツでは、南部や東部の山間地域は別にして、積雪はせいぜい5~10センチ程度。鈴木牧之『北越雪譜』を持ち出すまでもなく、日本の豪雪地帯とは比較になりません。しかも、今回ドイツに滞在して、この地の冬がこんなに緑でいっぱいなのかと不思議にさえ思いました。枯れ草が非常に少ないのです。街中の芝生も郊外の牧草地も、真冬でさえ殆どが緑で覆われています。ですから、雪解けの後ようやく黒い土が顔をのぞかせる時の感動は、この地にはありません。
 地震がないのは、ハイデルベルクの廃城からも分かりますし、ゲストハウス近くの不安定な建物からも理解できます(写真右は、ゲストハウス近くのマックス・プランク太陽系研究所)。実際、昨年9月からこれまで一度も地面の揺れを感じたことがありません。突風被害のニュースがないではありませんが、本当にまれです。洪水も数年に一度といった程度でしょう。
 そして5月。世は新緑と花々でおおいつくされ、爽やかな風が吹き抜ける中、太陽は9時近くにようやくゆったりと沈んでいきます。戦争ですべてが破壊された地域から来た人々にとって、確かにドイツは地上の楽園のように映ることでしょう。少なくとも、自然環境に関する限りでは・・・
(写真左下は拙宅の窓から見える風景、右下は大学北キャンパス内のマロニエ並木)

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法学部教授
陶久利彦