東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(63)

2016年06月09日

【我慢強いドイツ人】
 ドイツ人は我慢強い、と感じることがしばしばです。たとえば、スーパーのレジで客の一人が財布からお金を出すのに手間取っていても、後列の客は何も言わず静かに待っています。レジ担当者も同様。一人一人にゆっくりと対応します。日本ならばたぶん、後ろに並んでいる誰かが「早くしろよ!」などと騒ぎだすのではないか、と思われるような状況です。しかし、こちらでは至ってのんびり。おかげで私も恩恵を被っています。160609-2-1.JPG
 かと思うと、一度DBの列車がとある駅で停車してしまい、何も車内放送がないまま30分近く動かなかったことがありました(写真左は、結局途中下車した見知らぬ街の様子)。そのときにも、乗客のほとんどは仲間とおしゃべりをしたり、スマホをいじったりして、静かに待っています。「何があったのか」、「なぜ車内放送がないのか」、「一体いつ走り出すのか」、などと気にかけるのは日本人乗客くらい。ドイツ人のマナーについて確かに不満を感じたり不思議に思うこともあるのですが、この我慢強さには感服します。160609-2-2.JPG
 他の客への寛容な態度を可能にするのは、各人にそれぞれの事情があり、各自のペースで買い物をするのはその人の自由である、という考えがあるからなのでしょう。人口密度が低いのも、ゆとりをもたらす一因かもしれません。列車の遅れに対する態度も同じ背景から来ているのでしょうか? この辺のところは、まだよく分かりません(写真右は故障したのと同じ型の列車。ライン川に沿って走る)。

法学部教授
陶久利彦