東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(64)

2016年06月09日

【イエーリング】
 ゲッチンゲンにはゆかりの有名教授があまたいます。おかげで、街のあちこちで銅像と鉢合わせたり、何気ない住居に表示板が掛かっていて驚くことがあります。圧倒的に理系の研究者160609-3-1.JPGが多い中、法学の領域ではRudolf von Jehring(イエーリング)が代表選手として頑張っています。前期の代表作『ローマ法の精神』や後期の『法における目的』は専門家以外誰も読まないでしょうが、『権利のための闘争』は岩波文庫にも収められ、結構版を重ねてきたと思います。題名からもわかるように、権利は座して与えられるのではなく、戦うことによって獲得されるものだ、というのが彼の主張です。
 駅前から城壁に沿って南に向かうバスの2つ目の停留所は、Angerstrasse。下車するとすぐに、160609-3-2.JPGイエーリングが1872年から亡くなる92年までの間、住まいとしていた家が残っています。外から見る限り、全然豪華ではなく極めて質素。ここにこもって大著を執筆していたのだろうと想像すると、なんだかワクワクします。
 因みに、イエーリングで博士論文を書こうとしている中国人が、現在、法哲学研究室で日々研鑽に励んでいるようです。(写真は、いずれも旧イエーリング邸)

法学部教授
陶久利彦