東北学院大学

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文学部英文学科小竹ヘザー教授の最終講義が行われました

2012年03月14日

 今春3月をもって本学を退任する文学部英文学科の小竹ヘザー教授の最終講義が3月13日行われました。会場の841教室には多くの教職員や卒業生、在学生が集まり、先生の最後の講義に聴き入りました。
 小竹先生は、ご自身の出身地、スコットランドの正装でバグパイプの演奏をする本学非常勤講師のジェラルド・ミューヘッド先生を先導におごそかに講義室に入られました。

講義題目は “Introduction to the Folklore of Scotland”

 物語を語る動物としての人間が、長い間育んできた物語を、先生の手により6つの範疇に分け、特に先生の祖国に伝わる伝説を話されました。
 日本の羽衣伝説を彷彿とさせるアザラシ娘の話、主人の墓から離れようとしなかった忠実なエディンバラの犬。これらは世界中の物語に認められる同一の話型です。
 名前を知ることで悪を懲らしめる話。名前の無いことの悲しさ。スコットランドに伝わるたくさんの妖精達の物語。スコットランド旅行中のメンデルスゾーンに霊感を与えた名曲を生んだ“フィンガルの洞窟”。 妖精が与えた謎の古代絹で守られる一族、それらはお話ではありながら、同時に信頼性をもって史実のように語り継がれる話です。
 そしてまた、スコットランドのキリスト教の歴史の中に存在するアイルランドの公爵セント・コルンバ、奇跡を起こし、グラスゴー市の創立者となった人物の話等々。かの国の事を学ぶときに欠かすことのできない伝承の数々。
 馬の姿で現れ、人を死へと誘い込むケルピー。貧しい少年を救う約束をまもったことにより、残忍な死から救われるという教訓や道徳を伝える物語。
 そして、国家の象徴として存在する物語、人々が愛する理由と歴史があり、ご出身地に対する深い愛と誇りを、先生の言葉の端々に感じられるものでした。先生が話された数々の物語がどれもこれも魅力的で、伝わってきた年月とその国に住む人々の心のよりどころでもあったことが実感されました。
 大半の民話はいかに潤色されていようとも、基底部は一緒という先生の言葉は、その物語が持つお話の力だけでなく、物語を語る全ての世界中の人間の力も同じだとおっしゃったように心に響きました。

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最終講義をされた小竹ヘザー教授

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