東北学院大学

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(株)天童木工×東北学院大学経営学部 共同プロジェクト ビジネス・ケース研究における地域企業への戦略提案

2012年07月17日

《経緯と狙い》
 経営学部は教育目標として「理論と実践の融合」を掲げる。同目標は、経営学の理論を実際に活用できる場を、在学中から学生に多く提供していくことで実現されると我々は考える。その場を提供する講義が、ビジネス・ケース研究である。
 同講義では、教員が調査をおこなった企業の事例を、学生が経営戦略論の分析枠組みを用いて分析し解決策を考える。さらに半期毎、すなわち7月と12月にそれぞれの学期の学びの仕上げとして、学生たちが実際に策定した新・経営戦略を、企業経営者に対して提案することにしている。

《講義の様子》
 今回、学生が経営戦略を提案したのは、山形県天童市に本社と工場をおく(株)天童木工(以下、天童木工と略記)である。同社は、成形合板を自社の強みとして、これまで丹下健三や剣持勇といった昭和を代表する有名な建築家やデザイナーとの共同事業として、大型の公共施設を中心に高質な家具の生産と供給をおこなってきた。しかし、バブル経済崩壊以降、大型の公共施設、いわゆる箱物の新設の減少、ならびに競争入札による入札価格の低下によって、徐々に売上げが減少してきた。そこで近時に至り、同社は、これまで余り注力してこなかった一般顧客向けのビジネス、いわゆるホームユース事業の強化に乗り出している。今回、学生が提案をおこなうのは、天童木工のホームユース事業の拡充に向けた新戦略である。
 天童木工からは企画部取締役企画部長の福島幸雄氏にお越し頂いた。学生は6~7名で1つのチームを編成し、計6つのチームがそれぞれ1ヶ月以上かけて練り上げた戦略を発表した(写真1)。各チームの戦略提案の概要は、以下の通り。
○1班 本社ショールーム改善による直販体制強化
○2班 家具レンタル・リース事業の導入とその仕組みについて
○3班 未婚者、若い夫婦向け「組み替え家具」の開発と販売戦略
○4班 住宅購入者への家具販売に向けた住宅会社との提携戦略
○5班 オンライン直販強化に向けたWebデザイン提案
○6班 50~60代向け新商品提案と認知度向上への宣伝・広告戦略
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《成果》
 発表終了後には、福島幸雄様より学生発表へのご講評を頂いた(写真2)。様々なアドヴァイスを賜ったが、総じていえば学生に欠如していた視点は、(1)現実のビジネスにおける利害関係の複雑性への理解(要するに、1つのこと行うと、他のことに影響が及ぶ)、(2)コストへの意識付け(要するに、幾ら費用がかかり、幾らで販売して、幾ら儲けをとるのか)、という2点であったと思われる。それらの点は、今後の講義のなかで、しっかりと教育していく必要があるだろう。
 なお、講義終了後には、福島様を交えた懇親会を開催し、そこで優れた提案をおこなった上位3チームが発表された。結果は、1位=5班、2位=1班、3位=2班であった。
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《謝辞》
 教員による最初の企業訪問から1年以上にわたりお世話になった天童木工の福島氏には衷心より御礼を申し上げます。戦略提案に先だっておこなった学生による天童木工への見学およびヒアリング調査にご協力いただいた社員の皆様にも、この場をお借りして感謝の意を表させていただきます(写真3)。天童木工のように教育活動支援(=社会貢献活動)にご理解のある地域の優良企業との関係を、今後も発展させていきたいと存じます。
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