英語英文学研究所学術講演会【ワーズワスと詩の力】
2012年08月30日
英語英文学研究所学術講演会
ワーズワスと詩の力
私たちは「詩が読めない時代」を生きています。どうも詩を読むのは苦手という人がほとんどだと思います。詩はわざわざ読まないと読めないものになってし まったのです。これは知のモードが変わってしまったことと関係があります。それなら何も無理して詩を読む必要はないではないか、という意見もあるかもしれ ませんが、実はちょっとモードを切り替えてみることで、私たちは容易に詩の言葉になじむことができる。そしてそれは意味のあることなのです。
今回の話ではそのようなモードの切り替え方を、英国詩人ウィリアム・ワーズワスの比較的短い作品を素材に考えていきたいと思います。ワーズワスの詩はと きに、わかりやすすぎてわからない、という印象を与えることがあります。そのために、私たちにえもいわれぬ近づき難さを感じさせたりする。それはもちろ ん、本人の特異な資質にもよるところがあるのでしょうが、同時に、私たちが「詩が読めない時代」を生きているということともかかわっています。
ワーズワスは詩というジャンルが衰えていく時代にあって、この時代にしか書けない詩を書いた人です。でも、だからこそ、詩を読むことの負担をむしろプラ スの因子に変換してしまうような、不思議な読みの体験を与えてくれます。そういう意味では、ワーズワスが苦手な人こそがほんとうにワーズワスを楽しめる人 だと言っても過言ではないでしょう。
● 講 師 : 東京大学・大学院人文社会系研究科 准教授
阿部 公彦 氏
● 日 時 : 9月29日(土)14:40~16:10
● 場 所 : 8号館4階841教室
参加無料・申込不要
◆ どなたでもご自由に参加頂けます。直接会場にお越しください。
◆ 尚、駐車場がございませんので、自家用車でのご来場はご遠慮ください。
お問い合わせ先
東北学院大学 研究機関事務課 英語英文学研究所
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