東北学院大学

新着情報

東北学院大学地域共生推進機構主催「東北域学シンポジウム」開催

2013年03月28日

3月22日(金)午後3時から『東北学院大学が目指す地域における大学の役割』と題して、東北学院大学地域共生推進機構の主催による「東北域学シンポジウム」が開催されました。

 冒頭、星宮望学長は開会の挨拶で「地域社会は大学に何を求めているのか、それに大学はいかに答えるべきか」とこれからの地域共生推進機構の果たす役割への期待を述べました。これまでの被害者支援の方策、被災学生への支援、市民への施設開放、学生たちのボランティア活動や河北新報社との連携協力で始まった情報ボランティアやNPOとの連携など、多くの地域連携の実例を報告しました。

 また、佐々木俊三総務担当副学長兼学長室長は開催の趣旨として「地域社会は、大学の教育研究に何を期待しているのか、これを問いかけることに尽きる」と述べました。そして、「大学は、地域の人の学びの中核となること、大学生に地域の課題発見、解決をとおして学びの動機となるものを獲得させることが重要であると考えている。この地域と大学との間の往復がこれからの大学が進むべき道である」とこれからの大学の方向性を語りました。

 続く意見発表では、3名が登壇。最初に発言した多賀城市の鈴木明広副市長は「多賀城市と大学は包括連携協定を結んでおり、震災時には礼拝堂を避難所として開放いただいた。また、教育面でも小・中学生の夏休み・冬休み期間の学習支援活動として多賀城スコーレの開催に尽力いただいている」と紹介。また、多賀城市役所には多くの同窓生がいることも語ってくれました。2番目の発言者は仙台市社会福祉協議会の髙橋健一地域福祉課長で「震災当時、福祉プラザにあったボランティアセンターは土樋キャンパスのすぐ近くで、キャンパス内といってもいいほど。毎日のように多くの学生たちがボランティア募集に詰めかけてくれた。また、災害ボランティアステーションが立ち上がってからは被災地支援の要請に応え、貢献いただいた」と述べ、最後の発言者、宮城県中小企業団体中央会の今野敦之会長は経済界の立場から語っていただきました。「私も同窓生で、一時期は社員の3分の1を同窓生が占めていたこともある。震災後、沿岸部の中小企業を視察する機会が何度もあったが、沿岸部では人口が減少しており、産業の復興は遅々として進んでいない。学生たちの強みを生かし、どんどん地域と関わってほしい。産学連携というと東北大学の研究機関が目立つが、あちらは海外を見ている。東北学院大学は総合大学の強みを生かし、地域の中小企業とがっちりと連携していってほしい」と要望を述べました。

 その後のディスカッションでは、3名の発言を受け、経済学部共生社会経済学科の阿部重樹教授は「震災後の産学連携は個々の関係性だけに頼るのではなく、組織と組織との連携により継続的に発展させることを目指すことが重要」と述べ、教養学部地域構想学科の柳井雅也教授は「地域社会の問題解決と提言に関わっていくことが重要である」と話しました。

 最後に登壇した文部科学省高等教育局私学部私学助成課課長補佐の喜久里要氏は、「地域の発展に貢献し、地域と共に歩む大学づくり」と題して講演。震災後、早稲田大学の学生たちと石巻・気仙沼で行った自らのボランティア活動を紹介し、学生たちの特権、強みを目の当たりにしたそうです。「学生たちが自らイニシアチブを【とれる】か【とれないか】が問題。しっかりとした目的を持つこと、地域との【共創】を生み出すことが重要であり、イニシアチブを取って物事を進められる学生・人材を育てることがこれからの大学教育に求められている。それは《学習》ではなく学問をしっかりと身に付ける《学修》が重要だ」と述べました。

 喜久里氏は、3名の発言者から「同窓力」の話が口々に語られたことを称え「同窓生がしっかりと根を下ろしている地域と連携するのは難しいことではないはず。東北学院大学は恵まれた大学だ。なぜならそこから生まれる安心感がイノベーションにつながるから。大学が求められるのは同窓生の要望にスピード感を持って応えること。私立大学は【誰のもの】か。それは学生、つまり同窓生のためにある」と総括しました。

 誕生したばかりの東北学院大学地域共生推進機構への期待が語り合われた東北域学シンポジウムでした。

130328-2_1.jpg

130328-2_2.jpg 130328-2_3.jpg

130328-2_4.jpg

130328-2_5.jpg

130328-2_6.jpg