東北学院大学

新着情報

国交省と工学部の協定による共同研究開始について記者発表

2014年08月07日

140807-4_03.jpg

140807-4_01.jpg 平成26(2014)年1月28日に締結された国土交通省東北地方整備局と東北学院大学の連携・協力に関する協定を受けて、この度8月6日、樋門・樋管(ひもん・ひかん)の施設長寿化を目指す官学共同による研究について、その契約書の調印が行われ、共同の研究内容について記者発表が行われました。
 午後2時10分から、宮城県庁3階の県政記者会において、また、3時20分からは東北地方整備局の2階大会議室において記者発表を開催。発表には国土交通省東北地方整備局東北技術事務所の加藤信行所長(本学土木工学科OB )と、東北学院大工学部の中沢正利学部長が列席し、研究者代表として工学部環境建設工学科の石川雅美教授が同席しました。冒頭、加藤所長より、提携の背景や共同研究のテーマである「施設長寿命化を目指した樋門・樋管コンクリートの損傷・劣化に係る共同研究」について説明がありました。
 樋門・樋管とは、河川の堤防などに設置されている水路・用水路と河川を結ぶ門および堤防の下に埋設されている管のことで、主な河川ではコンクリート製の施設が設置されてから40年以上が経っています。現在、老朽化や損傷が現れはじめていることから、今後の施設の点検や補修、新たな技術開発などについて共同研究していこうという趣旨です。
140807-4_02.jpgのサムネイル画像 東北地方整備局管内にある樋門・樋管は約3,000余りで、そのうち整備局の直轄は1,300ほど(それ以外は農水省や県・自治体の管理)とのこと。東日本大震災後は目視による点検を行っていますが、40年を経ている樋門内部の点検まではできていないそうです。東北学院大学工学部では、橋台や樋門樋管などのコンクリート構造物の劣化の研究に取り組んでおり、こうした学識者の知見と評価を生かし、樋門・樋管の維持管理の実務に反映できる成果を目指すことになっています。
 石川教授は「道路や橋梁のように荷重のかかる構造物と同じコンクリート構造物ではありますが、負荷のかかり方がまるで違うので損傷の度合いも緩やかです。しかし、東北の場合は雪解け水や氷雪による劣化や、コンクリート中の鉄筋に及ぼす影響が他の地域とは違うため、全国に先駆けてこうした研究に着手することになりました。今回の研究成果と知見をもとに各地方整備局への情報提供も視野に入れています」と解説しました。
 東北学院大学工学部では、同じ多賀城市に所在する東北技術事務所の施設を活用し、学生が現場体感しながら、検知機器類を使ったコンクリート建造物の点検技術などを学んでいます。大学はこうした技術者の輩出を目的とした時代を担う技術者となる学生確保を、東北地方整備局は、人手が減少傾向にある土木技術者の人材確保という双方のメリットも視野に入れて今回の具体的な共同研究への取り組みとなります。

○関連記事はこちら
「国交省との連携による工学部環境建設工学科の学外授業」