東北学院大学

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日系人が見た After 3.11ドキュメンタリー「Stories From Tohoku」上映会&監督トークセッション開催

2014年11月27日

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 東日本大震災の発生から3年8ヵ月が過ぎました。世界中を震撼させ、私たちの暮らしに甚大な被害を与えた大震災が今、時の経過とともに風化してしまうのではないかと懸念されています。そんな未曾有の大震災発生直後から日系アメリカ人が被災地に入り、東北に暮らす人々の不屈の強さを記録したドキュメンタリー映画『Stories From Tohoku』の上映会と監督たちスタッフとのトークショーが、11月15日、土樋キャンパス押川記念ホールで開催されました。
 『東北からの物語/Stories From Tohoku—日系アメリカ人と日本を結ぶ永遠の絆』と題したこの映画は、これまでロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、ホノルルでの上映に加えて、アメリカのテレビ局でも放映され、大きな反響を呼んだ作品です。この作品を通じて、アメリカは東北を忘れていないことを伝えたかったと語るダイアン・フカミ監督。監督は、復興に向かう東北の人々の力強さを日米双方の人々が確認しながら、未来へ繋がる絆を育んでいけることを願い、日本での初上映の場を探していました。本学と公益財団法人宮城県国際化協会が主催として協力し、今回、監督・スタッフを迎え日本で最初の上映会を開催することが実現したのです。

141127-2_01.jpg 二部構成で組まれたプログラムの第一部の冒頭、主催者を代表して梅原廣公益財団法人宮城県国際化協会専務理事が「残念ながら被災地から離れた場所では記憶が薄れつつあります。ぜひ、今回のフィルムをご覧になり、震災に対する気持ちを新たにしていただきたいと思います」と挨拶しました。続いて同じく主催者である東北学院大学の141127-2_02.jpg佐々木俊三副学長は「現在の被災地は表面的には復興しているように見えますが、おそらく物語にできないような話がたくさんあると思います。現在の日本は大震災が忘れ去られつつあるように感じますし、こうして海外の方々が忘れないよう心に銘記され、被災地への支援をこのような形でお申し出ていただけるということに対して、被災者として心から御礼申し上げます」と述べました。

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 あいさつに続いて第一回目の上映が行われました。56分の映画が終わり、続いてダイアン・フカミ監督、デブラ・ナカトミ プロデューサー、デラール・ミホ フォトグラファー、オイカワデニムの及川秀子社長、白松がモナカ本舗の白松一郎社長によるトークセッションがスタート。監督たちスタッフは、大震災発生時にアメリカ国内でボランティア活動をしていたことなどがきっかけでこの映画を制作しようと思ったこと。アメリカでの上映では被災者の勇気や忍耐力などに感動して涙を流した人がいたこと。そして、被災者の人たちの優しさやあたたかさにふれるために、今でも被災地へ行っているなど、この映画に関するさまざまなエピソードを披露してくれました。
 特に、日本の文化を今も受け継いでいる米国の日系人社会の連携、そして仙台七夕祭りが西海岸で開催されているそのルーツについて、白松一郎氏が大いに手腕を奮った経緯などが語られました。

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 第二部、2回目の上映後は、観客席からの感想や質問にゲストが答えるというトークセッションのスタイルに模様替えしての進行です。フロアからは、「震災直後のこうした日系米国人の支援を知らなかった、改めて感謝します」「日本人のルーツを誇りとしているという言葉に感銘を受けました」という感想が述べられ、今後の復興についての支援のプランや、この映画の日米以外でのプロモーション、アジア・ヨーロッパで公開予定などがあるかといった質問が投げかけられました。すべてのプログラムが終了した後も、監督・スタッフが取材で来日した際に交流した人たちとの話が続いていました。
 この日の日本初の上映会に続き、翌日からは石巻市、いわき市、東京の上智大学などでも上映されることになっています。
 監督は最後にこうメッセージしました。
 『被災地で懸命に生きる人々の姿を通して、東日本大震災の風化を止めたいと願っています。私たちは決して皆さんのことを忘れることはありません』

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