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【文部科学省『地(知)の拠点整備事業』関連シンポジウム】ドキュメンタリー映画『ヘイトスピーチ』上映会&監督トークセッション 開催のお知らせ(11/19)

2015年11月16日

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 本学地域共生推進機構では、以下のとおり、ドキュメンタリー映画『ヘイトスピーチ』の上映会及び監督のトークセッションを開催することになりましたので、お知らせいたします。多くの皆様のご来場を心からお待ちしております。
 なお、本事業は、文部科学省・「地(知)の拠点整備事業」の一環として開催いたします。

主旨     

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 2009年12月、一部の市民団体が京都朝鮮第一初級学校の前で激しい「街宣」を行い、朝鮮学校の関係者に対して極めて差別的かつ暴力的な言葉を投げかけた。後に裁判で「人種差別」と認定されることになるこうした言葉は、これらの団体等が行っているデモや街宣で繰り返し用いられ、インターネット上の動画配信サイトなどを用いて拡散されている。これらの活動は、日本における先鋭的な「レイシズム(人種差別主義)」のひとつの形を、極めて鮮明に浮かび上がらせている。
 それに対して2013年以降、反レイシズム運動も新たな盛り上がりを見せるようになってきた。デモや街宣に対して、その場に行って対抗言論を唱えたりプラカードを掲げたりする「カウンター運動」に多くの人が参加し始めた。そして、このカウンター運動の中で、ひとつの言葉が広く流通しはじめる。「ヘイトスピーチ」という言葉である。
 2013年の流行語大賞トップ10にも入ったこの言葉が意味するのは、相手の属性やその所属集団に対して侮辱や差別扇動、脅迫を行うことである。被差別カテゴリーの人々に向けられる侮辱は、典型的なヘイトスピーチである。多くの欧米諸国は、ヘイトスピーチに対して何らかの形で法的に対処する仕組みを持っており、「表現の自由」に強い価値を置くアメリカにおいても、人種差別にもとづく犯罪である「ヘイトクライム」予防法を持っている。
 一方、日本では、このような事態に対応する法律は存在していない。そのため、これら一部の市民団体の活動とそれに対するカウンター運動が活発になる中で、ヘイトスピーチと表現の自由との関係を問い直す試みが数多くなされるようになり、研究書や啓蒙書が何冊も出版されている。ヘイトスピーチの持つ「悪」に対して、私たちの社会はどのように対応すべきなのか。この問いへの答えを探ることはいまや、この社会に生きる私たちにとって喫緊の課題となっている。
 さて、こうした日本社会の状況の中で、東北地方では相対的にこの問題に対する関心が薄いように思われる。昨年度本学で開催されたシンポジウム「多文化共生の社会の行方―ヘイトスピーチ問題の背景・影響・実践的解決」も、この問題に詳しい著名人が報告者に名を連ねていたにも関わらず、決して芳しいとはいえない集客状況であった。しかし、当然のことながら、東北地方にも多くの在日コリアンや韓国からの定住者の人々が生活している。彼らの多くはまた、東日本大震災の被災者でもある。この点で、東北地方に生きる日本人にとって、東北地方に生きる在日コリアンや韓国・朝鮮籍住民は、同じ痛みと課題を抱える隣人である。この点を考えるならば、東北地方の人々にとってこそ、いま日本社会の中で噴出してきている在日コリアンへの差別は、無関心であってよいはずがない。

 このような背景のもと、東北に暮らす人々(とりわけ学生世代の若い人々)に対して、ヘイトスピーチの問題を知ってもらう機会とすることを目的に、佐々木航弥監督のドキュメンタリー映画『ヘイトスピーチ』の上映会及びトークセッションを実施する。もとより、レイシズムの問題は一部の市民団体のデモや街宣の場だけで起こっているわけではない。むしろそれは、私たちの生活の中に深く根を下ろしており、大学生活の場や授業の場でさえ、決して無関係ではいられない問題である。実際、ヘイトスピーチは大学における外国人教員や学生に対して向けられることも珍しくない。そうした身近な問題としてのヘイトスピーチの、文字だけでは決して伝わらない禍々しさについて、映画とトークを通して深く考える機会を学生と地域の人びとに提供することも本企画の目的である。
 なお、佐々木監督は、岩手県の出身であり、自身が育った東北地方の人々、特に学生世代の若い人々に対して、レイシズム、ヘイトスピーチの問題を伝えたいという希望がある。

日時・場所

 ・日時:平成27年(2015)年11月19日(木) 13:30~17:00
 ・場所:東北学院大学土樋キャンパス8号館(5階)押川記念ホール

プログラム

 ・13:30~ 開会・趣旨説明  小宮友根(本学経済学部准教授)
 ・13:40~ 映画『ヘイトスピーチ上映』
 ・15:15~ トークセッション 佐々木航弥 氏(『ヘイトスピーチ』監督)
                郭基煥(本学経済学部教授、本機構多文化共生・国際交流部門長)
 ・16:30~ 全体討論
 ・17:00~ 閉会

主催

 東北学院大学地域共生推進機構