東北学院大学

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イズミティ21で、ノーベル物理学賞受賞の梶田隆章所長が講演

2016年03月31日

  3月20日、仙台市泉区のイズミティ21大ホールにおいて、「日本物理学会 第71回年次大会 第21回論文賞表彰式 総合講演」が開催され、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章東京大学宇宙線研究所所長が登壇しました。  
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 梶田氏は超新星爆発に伴うニュートリノの観測で、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏に師事。その後の観測でニュートリノが質量を持っているという宇宙の誕生や進化の謎などを解明する手掛かりともなる大きな発見と成果を挙げ、2015年に自身もノーベル物理学賞を受賞しました。
「ニュートリノ振動とニュートリノ質量」と題した講演では、ニュートリノの性質や岐阜県飛騨市神岡町にある観測施設カミオカンデの成り立ちなどを紹介し、「次の世代ニュートリノ実験が必要であり、日本のコミュニティーを中心に現在測定器のデザインが進められています。ニュートリノにはまだまだたくさんの謎が残っており、宇宙の物質の起源に深く関わっていることが考えられるため、その解明はとても重要だと思っています」と述べました。
 午後からは同会場で日本物理学会及び本学主催による「神岡の地下から探る宇宙の謎」と題した市民科学講演会が行われ、中畑雅行東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設長、神田展行大阪市立大学大学院理学研究科教授、そして梶田氏という、日本を代表する科学者による貴重な話を聴講できるとあって、科学や宇宙に興味を持つ500名の聴衆が会場に集まりました。
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  梶田氏は「粒子線天文学への期待」と題して、約100年前にヴィクトール・ヘス氏が行った気球による観測によって、当時は地表から出ていると思われていた放射線が宇宙からきていることがわかったこと。そして、超新星爆発の残骸や巨大なブラックホールなどが宇宙線の謎に深く関わっていることなどに触れ、「宇宙では100年前には予想もできなかった高エネルギー現象がたくさん起こっています。宇宙線研究は、粒子や素粒子を使って宇宙を探る粒子線天文学という新たな研究分野に変貌しようとしています。ニュートリノと重力波を含めた、新しい粒子線天文学というのは実に面白い時代になってきました」と語りました。
 また、本学では岩手県北上市から宮城県気仙沼市におよぶ地域において、ILC(国際リニアコライダー)と呼ばれる素粒子衝突実験装置を有する実験施設の推進協議会に入会しており、東北地方で唯一の総合私立大学としてさまざまな角度からILCに関する可能性を追求しています。

 今回、東北学院大学泉キャンパスで開催された「日本物理学会 第71回年次大会」には、4日間で延べ6500人が訪れました。全国各地からJr.セッションに参加した高校生も引率者含めると500人と、多くの学会関係者に東北学院をアピールすることができました。ご参集の皆さま、ありがとうございました。
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