東北学院大学

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礼拝堂ステンドグラスの調査・鑑定始まる

2016年07月08日

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 1932(昭和7)年に竣工したラーハウザー記念東北学院礼拝堂は、2014(平成26)年12月19日に国の有形文化財(建築物)として登録されました。その礼拝堂の北面に設置されたステンドグラスの調査・鑑定が、創立130周年記念事業の一環として行われています。
 このステンドグラスは、キリストがユダを除く十一使徒に最後の祝福を与えて昇天する姿を極彩色で描かれています。ステンドグラスの鑑定を担当したのは国内でも随一のステンドグラス工房である「光ステンド工房」の代表、平山健雄氏です。
 6月13日に来学した平山氏は、庶務部の担当者、総合人文学科の鐸木道剛教授(キリスト教美術、ヨーロッパ文化論)、出村みや子教授(ギリシア・ローマの思想と哲学、ギリシア・ローマ文化論)と共に午前中からステンドグラスを実見しました。当日はあいにくの雨天のため、外側からの検分と細部の撮影は後日ということになりました。
 このステンドグラスの来歴は以下の通りです。
 「ミセスシュネーダーの幼友達マウル、ヴィーバー姉妹の寄贈」で、「イギリスから之を取り寄せるのに関税を除いても尚四千五百圓以上かかったそうだ」と献堂式の様子を伝える『東北学院時報』(第100号、昭和7年6月1日付)が記していることからイギリス製であることが分かります。ステンドグラスを検分すると、左端の部分の下端に二枚に渡ってHAETON BUTLER & BAYNE LONDONと記されています。これはClement Heaton(1823 -82)が1852年に始めたステンドグラス工房で、後にJames Butler とTurnill Bayneが加わり、1862年以降は、”Heaton, Butler & Bayne”として知られていた工房です。工房はロンドンのコヴェント・ガーデンにあり、ヴィクトリア朝の重要な建築家の注文を受け、イギリスのゴシック・リヴァイヴァルの指導的役割を果たしたといいます。その作品はイギリスに留まらず、ヨーロッパそしてアメリカ合衆国の多くの聖堂に見られます。
 礼拝堂のステンドグラス外側には保護用のガラスが取り付けられています。今後は、このガラスの洗浄、及び中のステンドグラスの裏面の洗浄などを行い、今よりもさらに鮮明に見られるよう整備を行う予定です。
 創立記念事業の計画としては、11月にラーハウザー記念東北学院礼拝堂のステンドグラスについて、技法的側面からの分析に加えて美術史家による講演会を開催することにしています。詳細については決定後お知らせいたします。

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