東北学院大学

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障がい者施設「津久井やまゆり園」の悲劇について

2016年07月29日

障がい者施設「津久井やまゆり園」の悲劇について

学長 松本 宣郎 



 神奈川県相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で生じた大きな悲劇に接し、驚愕と憤り、そして深い悲しみを覚えざるを得ません。安らかな眠りのさなか、悪意そのものと化した凶器に襲われ、抵抗するすべなく、助けを呼ぶことすらできずに命を失われたすべての方々に哀悼の意を表し、また重傷を負われた方々の一日も早い回復を祈り、恐怖の思い出が薄らぐことを心よりお祈り申し上げます。
 この事件は、単に弱い、無抵抗の人を襲った残虐な行為、というに止まらない、底知れぬ不快感、あるいは不気味さを感じさせずにはおきません。それは、不敵とも、またうつろにも感じさせる犯人の車中での微笑みではなく、「こういう人は死んだ方がいい」とか「ヒトラー思想がおりて来た」という、マスコミを通じて知らされる犯人の言葉に示される、障がい者に対する絶望的なまでに侮蔑的な妄想が与える印象なのです。犯人はかつて自分自身が接していた入園者たちに死を宣告し、執行人となったつもりであるかのようです。いったい何を根拠に、このような重い行為ができるのか、当人にそのような判断の力は一切なかったのでしょう。心からの反省と悔い改めを求めたいと思います。
 この事件に先立って、世界であまりにも頻繁に、無抵抗の人々がテロや戦闘、あるいは避難中の海難で命を奪われる出来事が多く起こっていることに憤りと悲しみを覚えざるを得ません。生命の軽視、弱者へのいたわりの思いが人類的規模で劣化し、危機に瀕しているかのようです。
   東北学院は建学の精神であるキリストの言葉に立って、すべての人間が平等であり、人は互いに愛をもって奉仕し、共に生きなければならないことを改めて訴えます。世界が今、平和と寛容の精神を掲げなおし、その実践に踏み出すために、私たちは働きかけたいと思います。