東北学院大学

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〈記憶風景を縫う〉‐被災地の手仕事活動とチリのタペストリー〈アルピジェラ〉から災禍の記憶と表現を考えるプロジェクト 第5回勉強会のご案内

2016年09月29日

チリのキルト「アルピジェラ」(*)について学ぶ 【10月1日(土)開催】
東北学院大学 平成28年度学長研究助成金採択事業

 東日本大震災後の被災地では、被災者が手芸や工芸など種々の手仕事に取り組む様子が見られました。仮設住宅などで共同の制作作業として行われる手仕事活動は、孤立しがちな被災者が人とともに活動する場を提供し、被災コミュニティをいきいきとしたものにする重要な役割を果たしてきました。これら手仕事のなかには、喪われた人命や故郷の風景を象徴的に表現したものも見られます。160928-3-1.jpg
 本プロジェクトでは、津波や原発事故の被害にあった土地で営まれる手仕事のうち、とくに裁縫技術を用いた作品に注目し、南米チリの軍事独裁体制期に発達した「アルピジェラ」と呼ばれるキルトと比較し紹介したいと考えます。
 プロの裁縫家ではない一般の市民が主たる作り手であること、地域ワークショップでの活動が喪失の経験を語り合い共有する場にもなったこと、喪われた土地や人への愛着を表現する手法などにおいて、両者には共通する点を多数見いだすことができます。地理的にも歴史的にも全く異なる背景を持つ東北地方とチリの間で、災禍の記憶と表現のあり方を通じて共鳴する市民の姿が見えてくるものと考えます。

〈記憶風景を縫う〉第5回勉強会
「日本のチリ人民連帯運動とアルピジェラ」
2016年10月1日(土) 16:00~18:00
※詳細、参加申し込みはこちらをご覧ください。

◇記憶風景を縫う プロジェクト 今後の勉強会開催予定

第6回 11月19日(土)  13:00-15:00
第7回 12月17日(土)  15:00-17:00

◇展覧会(仙台展、巡回展
仙台展 2017年5月~6月 2週間の予定
主な展覧会は仙台市内において、2017年5月の開催を予定しています。

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PDFファイルはこちら(361KB)

〈公開勉強会の足跡〉
2016.6.15     第一回「アルピジェラとはなにか」
2016.7.13     第二回「アジェンデ政権の前と後」
2016.8.20     第三回「ピノチェト軍事政権下の映像表現~『戒厳令下チリ潜入記』から考える」
2016.9.8       第四回「ピノチェト軍事政権下の映像表現~『光のノスタルジア』から考える」

第5回 2016年10月1日(土)

                   「日本のチリ人民連帯運動とアルピジェラ」

主催:「記憶風景を縫う」実行委員会
共催:東北学院大学地域共生推進機構、survivart

参加申し込みは下記メールから
Email :  arpilleras@survivart.net

アルピジェラ arpilleras : チリの軍政期(1973年~1990年)、貧民地区の女性が中心となって、地区の暮らしの実情や政治抑圧の様子を描いたタペストリーを縫っていったもの。古布や身近な材料を使って作られており、中には行方不明者の衣服を用いてその家族が作った作品もある。アンデスの山々(自然風景)と貧民地区特有の光景(社会風景)を背景に、地区内の助け合いや、軍政下の人権侵害を訴える活動の様子が描かれる。2000年代後半からヨーロッパを中心として展示活動が広がる。紛争や政治暴力を経験した地域では、アルピジェラの手法を通じて辛苦の記憶や社会経験を作品化する活動も活発化している。