言葉の奥底にある思いを巡る「恋するダンテ─『神曲』の魅力」開催

2017年01月04日

 12月3日、土樋キャンパスのホーイ記念館多目的ホールにおいて、東北学院史資料センター2016年度公開シンポジウム「恋するダンテ─『神曲』の魅力」が開催されました。

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 シンポジウムのナビゲーターを務めた本学教養学部の下館和巳教授は冒頭に「本日は、日本におけるイタリア学会の中でも巨匠である斎藤泰弘先生と原基晶先生をお呼びしました。私たちダンテプロジェクトがずっと夢見ていたことで、大変光栄に思います」とあいさつしました。

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 第一部の基調講演では、「危険な恋─地獄篇第5歌『パオロとフランチェスカ』を読む」と題し、京都大学名誉教授の斎藤泰弘氏が登壇。「今日はダンテのいろんな話をするのではなく、皆さんにダンテを好きになってもらうための話をしていきたいと思います」と語り、神曲地獄篇第5歌を紹介し、神曲を翻訳した山川丙三郎氏の訳には作者を敬う畏敬の念があり、山川氏の翻訳から100年後に訳した原基晶氏にも同じ気持ちが感じられること。騙されて結婚したフランチェスカと結婚相手の弟パオロとの禁断の愛を書いた「パオロとフランチェスカの物語」は、理性では抑えきれない無意識の欲動が現実に現れていること。時代を追うごとに変化していった物語の挿絵などを紹介しました。
 続いて「ベアトリーチェの微笑─暗い森と大海原と日の光」と題し、神曲などの翻訳を手がけた東海大学ヨーロッパ文明学科専任講師の原基晶氏が登壇。詩人であり、政治家であり、哲学者でもあったダンテの政治思想に対し「恋と政治はどちらも信頼と裏切りが関係する点で似ています。ダンテが生きた時代は都市が勃興したことで、人々の生き方が多様化していきます。それまでの文学は、実態のないものが出てきて説明的に進んでいましたが、ダンテが書いた物語から現実の人が登場し、本当に動いているような描写が表現されるようになりました」と話し、地獄篇や天国篇などの一説を読み解きました。

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170104-4-14.jpg 休憩を挟んで行われた第二部では、冒頭で危険な恋に落ちたパオロとフランチェスカが刺殺されるシーンを再現したオペラの映像が流され、それに次いで下館教授がコーディネーター役となって斎藤氏と原氏にダンテに関するパネルディスカッションがスタート。斎藤氏と原氏がどのような経緯でイタリア文学に学んだのか。両氏にとってダンテとはどんな存在なのかなど、ダンテに関するさまざまな話題にふれ、最後に斎藤氏から「楽しむことが大前提で、言葉のニュアンスの中にどんなふくらみがあるのかを知っていただきたい」と話し、原氏からは「昔の物は良い文章があって、それを意識してぜひ音読してみてください」とメッセージが贈られ、シンポジウムは終了しました。