東北学院大学

新着情報

連続講座「震災と文学」:東雅夫氏「震災と怪談文芸と」開催報告

2017年01月25日

170125-1_1.jpg 170125-1_2.jpg

 東北学院大学地域共生推進機構が主催する連続講座「震災と文学」が1月20日、ホーイ記念ホールにおいて開催されました。2016年度・後期5回シリーズの第2回目となる今回は、アンソロジスト・文芸評論家・怪談専門誌『幽』編集顧問の東雅夫氏による「震災と怪談文芸と」。
 会場には幻想文学や怪奇文学、怪談に興味を持つ人々が駆けつけ、資料として「日本タクシー怪談年表」や怪談文学の傑作の抜粋、新聞掲載記事などが手元に配られました。来場者は東氏の語りによる日常に潜む異空間の物語に冒頭から引き込まれました。江戸時代から明治、昭和にかけての乗物にまつわる怪談の歴史を、スクリーンで写真や絵画、資料を映し出しながらわかりやすく解説。馬から駕籠かき、人力車、汽車、タクシーまで、歴代の文豪たちがさまざまな怪談を執筆している事実を披露しながら、東氏はその抜粋をまるで講談師のように読み上げて、異界を垣間見る愉悦を来場者に与えてくれました。
 関東大震災の前後は怪談ブームが起こり、当時の文化人たちが文学や絵画でその世界を発露し、大衆の人気を集めたといいます。それから100年近くが経ち、3.11の震災でも沿岸部でのタクシー怪談が話題になったのも記憶に新しいところです。講座では怪談の原型やさまざまな形態を披露しながら、否定的感情への執着による成仏できない人間の哀しみや切なさを描くと共に、さまざまな作家の視点の奥には、怖いもの見たさだけではない、死者を悼む優しさが伏流水のように流れ続けていることを間接的に示唆してくれました。
 東氏は当連続講座の企画・コーディネイトを担当する荒蝦夷と共同で2010年「みちのく怪談プロジェクト」を始動。東氏編による『みちのく怪談名作選vol.1』」が荒蝦夷から刊行されています。

・連続講座「震災と文学」
https://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/oc2016au-31.html

・荒蝦夷
http://araemishi.la.coocan.jp/index.html

170125-1_3.jpg 170125-1_4.jpg
170125-1_5.jpg 170125-1_7.jpg
170125-1_8.jpg 170125-1_6.jpg