東北学院大学

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『悲愛 ― あの日のあなたへ手紙をつづる』 金菱清 編 東北学院大学震災の記録プロジェクト

2017年03月07日

170307-2_1.jpg 3・11亡き人に宛てた珠玉の手紙集をお届けします。この手紙は「手紙」を超えた手紙です。いずれも書けないあるいは書くことができなかった人びとの痛切な悲愛の言葉です。
 3・11のあの日、さよならもいわずに去ってしまったかけがえのない人、流されてしまった家、動物たち、もはや戻れない故郷。震災から6年を前に、愛すべき人、失ったものたちへの痛切な想いをつづった33編の手紙を収録しました。亡くなった人たちは目に見えず呼びかけても無言ですが、すぐにそばにいることは、理屈を超えて確かな実感としてあるのです。
 そこにあるのは、社会的に注目された人や被災者として語られることが多かった当事者から決して見えてこなかった人びとの姿です。私的な手紙を通して初めて私たちはその声がどういう意味を持つのかを知ることができるのではないかと考えてしまいます。
 これまで第三者へ語ってきた当事者の言葉を、今度は二人称への問いかけの言葉として向き合ったとき、震災がもたらした内実をほんの少しだけ垣間見ることができるのかもしれません。
 『呼び覚まされる霊性の震災学―3.11生と死のはざまで』、『3.11慟哭の記録―71人が体感した大津波・原発・巨大地震』(出版梓会新聞社学芸文化賞受賞)に続く、東北学院大学震災の記録プロジェクトの出版。

《推薦文》
◆大切な人を思い、言葉を紡ぐ。そのとき人は世に愛を放つ。若松英輔(批評家)
◆震災死という不条理に綿密に取り組む視点は、被災地の声をなんとか世に届けんとする我々の映像活動の、大いなる〝導き″である。堤幸彦(映画監督)

◆亡き人との魂の対話
 昨年出版致しました『呼び覚まされる霊性の震災学』に続き、亡き人に宛てた珠玉の手紙集をお届けします。3・11のあの日、さよならもいわずに去ってしまったかけがえのない人、流されてしまった家、動物たち、もはや戻れない故郷。震災から6年を前に、何人もの被災者が愛すべき人、失ったものたちへの痛切な想いを手紙に綴ってくれました。亡くなった人たちは目に見えず呼びかけても無言ですが、すぐにそばにいることは、理屈を超えて確かな実感としてあるのです。
 NHKで報道され反響を呼んだ風の電話(大槌町)、漂流ポスト(陸前高田市)に続き、沈黙をひらく死者との交流としてご注目ください。


『悲愛 ― あの日のあなたへ手紙をつづる』

金菱清 編 東北学院大学震災の記録プロジェクト(新曜社)
2017年3月11日発売
ISBN978-4-7885-1515-4
C1036 定価 2,000円(税別)

『悲愛』 目次
はしがき 金菱清
愛梨お姉ちゃんへ 佐藤 珠莉
最愛の娘 愛梨へ 佐藤 美香
お父さん・篤姫へ 目黒 奈緒美
よしくんへ 佐藤 志保
天の父なる神様 大澤 史伸
届かぬ手紙 髙橋 匡美
じいじ・ばあばへ 千葉 颯丸
故郷、愛犬との別れ 福島 希
パパが帰ってこない 後藤 英子
六十五年間、海との係わり 須田 政治
故郷を想う 渡部 典一
もう二○歳になったよ 小畑 綾香
夢でしか会えない聖也へ 小原 武久
真衣への手紙 鈴木 典行
愛しのくう太・ぶり太・ルルへ 大野友花里・三浦 愛弓・大野 泰代
大好きなお父さんへ 磐田 紀江
津波で失われた「ものたち」へ 阿部 雄一
我が愛するふる里南津島へ 三瓶専次郎
ごめんね。ありがとう。 齋藤 美希
おじいちゃんが命をかけて守ってくれたもの 赤間 由佳
大好きな父へ 赤間ひろみ
お母さんの自慢の息子 寛へ 村上 智子
ずっと三人兄弟 村上 寛剛
故郷・歌津へ 千葉 拓
いっくへ 佐藤 梨恵
わたしのふるさと石巻へ 海野 貴子
お母さんへ 佐藤 信行
6年目のあなたへ 菅原 文子
天国の貴方へ 小山まつ子
荒浜現地再建への思い 貴田 喜一
おはよう、パパ 鈴木久美子