東北学院大学

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ファカルティ・フォ-ラム「マルコによる福音書 ― 十字架のキリストに従う者への福音書 ―」開催報告

2017年10月18日

 10月6日(金)14時40分より、文学部総合人文学科主催(私立大学研究ブランディング事業「東北における神学・人文学の研究拠点の整備事業」共催)ファカルティ・フォ-ラム 「マルコによる福音書 ― 十字架のキリストに従う者への福音書 ―」が開催されました。
 総合人文学科学科長の出村みや子先生のご挨拶の後、講師であるハイデルベルク大学神学部教授のペーター・ランペ先生が紹介されました。
ランペ先生はドイツを代表する新約聖書学者の一人であり、パウロ研究を中心に多くの論文、研究書を発表されています。先生はマルコ福音書の福音概念を中心に、最古の福音書をめぐる謎を解き明かされました。

 「マルコ福音書は、読み手にとって不愉快な書物である」というランペ先生の言葉は、聴衆の関心を引きました。マルコ福音書の読者は、物語上の弟子たちに同一化するように促されており、この福音書の弟子たちは、イエスに従うと言いながらもイエスを裏切ります。マルコが、このような弟子を批判的に描くのは、権威的な存在としての弟子、つまり弟子に代表される教会のあり方を批判しているからであると語ります。

 「マルコによれば、教会は自己批判の教会であるべきです。それは、「常に改革される教会(ecclesia semper reformanda)」としての自己像に開かれます。自身とここでは使徒としてあげられている代表的な権威に問いを向けることを恐れず、また彼らに対して、その無力さ、教会のヒエラルキーへの執着、無理解、拒絶と挫折を公然と明らかにすることを恐れない教会です。なぜなら、その欠点を言い繕うことはできず、口実逃れもできないからです。それは同一化された読者にも同じです。このマルコ福音書は実に不愉快な書物なのです」

 マルコ福音書はイエスの言葉と行いを伝えるだけの書物ではなく、当時の教会のあり方、ひいては、現在の教会のあり方に対して批判的な視線を向けているのだと説きます。

 当日は学生や教職員のみならず、一般の方も多数参加され、マルコ福音書の新しい読み方に耳を傾けました。

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