東北学院大学

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2018(平成30)年度東北学院大学研究ブランディング事業 学生ワークショップ 「東北における宗教的観光資源の可能性 ― 世界から見た東北観光 ―」報告

2018年10月19日

 10月6日、7日、秋田県湯沢市、羽後町を拠点として東北学院大学研究ブランディング事業学生ワークショップが開催されました。
 6日朝に土樋キャンパスを出発した後、湯沢市院内の銀山異人館において、施設の方から館内と銀山の歴史に関する説明を受けました。その後、院内銀山史跡を見学。院内銀山は、発見から閉山まで約350年続いた国内有数の銀山ですが、現在はその面影はほとんど残されていません。その後、尋常小学校を見学し同市内の誓願寺に向かい、おそらく隠れキリシタンに遡るとされるマリア観音に関する説明を住職の方から受け、この地域とキリスト教の隠れた結びつきを確認しました。
 羽後町へ移動してからは、株式会社トラベルデザインの須崎裕さんに事業の説明を受け、羽後町を利用した田舎留学、今後のストラテジーについてお聞きしました。夕刻には、小町堂にて小野小町についての説明も受けました。

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 翌7日は木村酒造を見学し、施設の方から同社の商品「福小町」の説明を含めて酒造りのルーツと酒蔵の構造についてお話し頂きました。福小町は日本国政府の在外公館において、外国の賓客にも供されているお酒です。帰途、小安峡を見学しました。小安峡は「ゆざわジオパーク」のジオサイトに登録されており、自然の素晴らしさを肌身で実感し、こうした自然遺産が観光遺産となり得る可能性を確認できました。
181019-4_3.jpg なお、今回参加した学生からは以下のような意見がありました。

○今回赴いた院内、湯沢市の地は私が普段生活している地域と全く違う世界であった。自分の活動拠点である仙台や東京などと異なり、あれほどまでの田舎の環境や生活に触れる機会は初めてであった。消滅が目前に迫っている地域について学び、考えることがいかに難しいことかを実際にその現場で活躍する方々から聞く貴重な機会になった。
 院内の持つ強みとは田舎ならではの魅力に加え、その歴史にあることは事前のワークショップで学んだが、実際にその場所に足を運ぶことでより強い衝撃や学びを得ることができた。この地域が持つ魅力は確実に存在しているが、一方でその発信の難しさは否めなかった。院内地区はコンテンツの面ではむしろ優れており、東北各地に院内のような過疎化が進んでいる一方で魅力にも欠ける地域が多くある現状はまさに問題である。

○百年前までは数万人規模の大きな街があった院内が、銀山の閉山を機にわずか百年の間で衰退し、かつての銀山跡地周辺が森林に覆われつくしている光景に衝撃を受けた。
 現在日本各地で地方の衰退が叫ばれているが、今回訪れた院内の地は、人口減少によって破滅へと突き進む日本の将来と我々に対して大きな示唆を与えるものがあったのではないだろうか。

○歴史、文化、食は地域を動かす力を秘めていると推測でき、その魅力を生かすも殺すも、これからの若者がそれに関わらなくてはならないことが明白だ。それに加えて、地域の人々の協力が必要不可欠であることは間違いないと言える。東北地方には、院内のような地域がまだまだ眠っているものと推察でき、今後のワークショップでも今回のフィールドワークをベースに東北の地域のブランディングに貢献していきたい。

○引き続き、東北における宗教的観光資源の可能性について、座学と共にフィールドワークを交えて、学んできたいと思います。
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