東北学院大学

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東北産業経済研究所2018年度公開シンポジウム「『幻の野蒜港』と東北開発」開催報告

2018年12月20日

 12月15日、土樋キャンパス8号館5階押川記念ホールにおいて、東北産業経済研究所主催の公開シンポジウム「『幻の野蒜港』と東北開発」が開催されました。

齊藤康則経済学部准教授
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前田修也経済学部教授
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仁昌寺正一経済学部教授
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齋藤善之経営学部教授
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雲然祥子本学大学院
経済学研究科博士後期課程
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 今年は明治150年、野蒜築港事業の着手から140年という節目の年にあたります。はじめに、司会を務めた齊藤康則氏(本学経済学部准教授)が開催趣旨を説明した後、本研究所所長の前田修也氏(本学経済学部教授)が挨拶・講師紹介を行いました。
 第一部の講演では、3名の講師が登壇しました。まず、仁昌寺正一氏(本学経済学部教授)が「『幻の野蒜港』について」と題して、野蒜築港事業の概要や同事業が「挫折」した原因について、多くの資料を提示しながら述べました。とくに、同事業が進められていた当時、政府の交通・運輸政策に大きな変化があったことを挙げ、それが野蒜築港事業の失敗の本質的な原因の一つであることを指摘しました。
 次に、齋藤善之氏(本学経営学部教授)が「近代における北上・東名運河の水運機能について」と題して、明治20年代初頭に綴られた北上運河の通船記録などの資料から、野蒜築港事業が失敗に終わった後も北上・東名運河は地域の人々の生活用品・物資等の運輸手段として使用されていたことを明らかにしました。また、地元に住む方々への聞き取り調査の結果から、少なくとも昭和20年代までは運河がさかんに利用されていたことなどを紹介しました。
 最後に、雲然祥子氏(本学大学院経済学研究科博士後期課程)が「『松方デフレ』と野蒜築港事業」と題して、野蒜築港事業の背景として明治10年代の財政政策(とくに大隈財政・松方財政)に言及し、それらの政策の影響が同事業に如実にあらわれていたことを、当時の統計データや行政文書などの史資料を用いて明らかにしました。
 第二部は、齊藤康則氏の進行のもと、パネルディスカッションが行われました。3人の報告を踏まえて、フロアから寄せられた質問にも答えました。
 シンポジウム当日は480名を超える参加者があり、大盛況のうちに終了しました。
当研究所では今後も、東北地方の開発・経済に関する取り組み・研究を継続していきたいと考えております。

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