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文学部歴史学科主催第22回公開講座「歴史のなかの女と男」(6/1)開催報告

2019年06月10日

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 2019年6月1日(土)、文学部歴史学科主催第22回公開講座「歴史のなかの女と男」(全5回)の第1・2回目が開催され、会場のホーイ記念館ホールには前年度開催時を大きく上回る220名の市民が来場し、一時立見がでるほど盛況となりました。
 第1回目は、東京大学史料編纂所の久留島典子教授が「戦国大名の政治戦略と婚姻関係」をテーマに講演。はじめに、「政略結婚」について述べ、戦国大名たちは、領国の統治の必要性から無益な戦いを避けることを重要視し、そのために同盟を締結したり、政略結婚によって血縁を結んでいたことを解説。また、この政略結婚は、「政治的・社会的・経済的利益」のためとしては共通であるものの、従来は身分の近しい家同士が血縁関係を維持することを目的としたものから、外の世界と新たなネットワークを形成するため、異質な家同士の婚姻に目的が変化していったことなどを説明されました。
 具体的に、戦国大名毛利氏に臣従した益田氏を事例として紹介され、とくに養子に着目しながら、戦国時代に至るまで、「家」の存続の変化の様子について述べられました。日本では同族内での婚姻関係が主である一方、中国では古代に「同姓不婚」が確立し、婚姻は族外婚で養子は「同姓養子」である点などに言及された点は、興味深いものでした。後半では、東北の戦国大名伊達氏の婚姻をとりあげ、広域かつ重層的な家結合のありかたを、要点を整理して説明を加えられました。
 続く第2回で、本学歴史学科の菊池慶子教授が「大名家の奥向と家臣・奥女中」をテーマに講演。最初に、奥女中とは、武家屋敷の奥向に仕える女性の奉公人のことで、江戸時代後期の江戸城には、奥女中に仕える部屋子を含めると、2,500人もの女性の奉公人がいたことが推測されていると説明されると、会場からは驚きの反応がみられました。
 大名家の奥向は、当主の子女の出産や養育を担うほか、男性が担う表向と同様に、儀礼を通して将軍家および親族との交際などを担う公的役割があることを指摘し、これと関わる奥女中の職制と仕事を紹介。とくに特定の大名家には、老女のなかから将軍家大奥への使者となる女使が置かれ、儀礼のほか内証勤めもあったことなどを解説されました。
 さらに、仙台藩伊達家を事例に系図や縁組表、屋敷絵図なども解読材料に加えながら、奥女中を始祖とする女系の家臣家が立てられ、伊達家の家臣団が再生産されたことなどについても触れられました。
 以上、2回の講演は、ジェンダーの視点で歴史を読み解く面白さを存分に知っていただく機会となったように思われます。