2011年4月以降、東北学院大学教養学部地域構想学科教員グループは、東京情報大学や地元研究者・専門家と協働しながら、仙台市南蒲生の被災地で調査を進め、その結果を報告し議論を交わすフォーラム「仙台湾/湾岸エコトーンの復興を考える」を、これまで3回にわたって開催してきました。
その第4回目が、「ふるさとの浜辺復興、こうしたいを分かち合う」というテーマを掲げ、平成26年1月25日に土樋キャンパスの押川記念ホールにて開催。海岸エコトーン(海域と陸域、あるいは河川の境界にあって、水分条件などの環境因子が少しずつ変化する移行帯のこと)の中では、様々な動植物の生息場所であるハビタット(生活環境)や生態系が甦ってきているというデータがたくさん集まっており、甦ってきたものをどうやって残していくべきかを考える場となりました。
はじめに行われた基調講演「仙台湾南部海岸の自然環境特性と大地震後の変遷」では、東日本大震災後、干潟の底生動物の調査・研究を行っている東北大学大学院生命化学研究科の鈴木孝男氏から、大津波によって形成された「できちゃった湿地」に生息する生物の紹介や生物が自然環境の回復に欠かせない働きがあること。そして、大震災で被害を受けた沿岸部の復旧工事には、生態系に配慮して進めていく必要があることなどをお話いただきました。
続いて行われた話題提供では、報告者それぞれの視点から調査した海岸エコトーンの変遷や現況など、5つの情報が報告されました。その後は、来場者から寄せられたたくさんの質疑応答に対する回答が行われ、終了予定時刻をオーバーしてしまうほど意見や考えが交わされる場となりました。
本学では、今後も海岸エコトーンにおける調査・研究を行っていくことはもちろん、様々な視点からアプローチを続けている方々の活動報告が発表できる場を設けていきます。
※参考資料 フォーラム概要
―「ふるさとの浜辺復興、こうしたい」を分かち合う―
仙台湾/海岸エコトーンの復興を考える
第4回・フォーラム
開催日時:2014年1月25日(土)、13:00~16:30(開場12:30)
開催場所:東北学院大学土樋キャンパス 8号館5階・押川記念ホール
参加無料, 事前申し込み不要
サイトURL: https://sites.google.com/site/ecotonesendai/
プログラム:
1. 開催趣旨説明平吹喜彦(東北学院大学)
2. 基調講演
鈴木孝男(東北大学大学院生命科学研究科)
仙台湾南部海岸の自然環境特性と大震災後の変遷
3. 話題提供
(1) 鳥の目からみた地域の復興と景観再生の課題
原慶太郎・趙 憶・富田瑞樹(東京情報大学)・
平泉秀樹(ラムサールネットワーク日本)・平吹喜彦(東北学院大学)
(2) 自然環境と災害復旧工事の1000日
中嶋順一(仙台湾の水鳥を守る会)
(3) 砂丘生態系の復元にむけて -砂浜植物の増殖と導入-
鈴木 玲(手稲さと川探検隊・雪印種苗)・
佐藤 修・大塚隆久(緑を守り育てる宮城県連絡会議)
(4) 低頻度・大規模攪乱後の海岸林モニタリングから見えてきたこと
富田瑞樹(東京情報大学)・南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワーク
(5) 今こそ、行政・市民協働による「ふるさとの浜辺復興」を
平吹喜彦(東北学院大学)
4. 討論・総括モデレーター:熊谷佳二(蒲生を守る会)・原慶太郎(東京情報大学)
本フォーラムは, 平成25年度震災に関わる学長研究助成金(東北学院大学),私立大学戦略的研究基盤形成支援事業S1103002,JSPS科研費24510332・24810024・25830153の支援を受けて実施するものです.
主 催: 「フォーラム 仙台湾/海岸エコトーンの復興を考える」 実行委員会,
東北学院大学, 東京情報大学
後 援: 南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワーク, 蒲生を守る会,
日本雁を保護する会, 仙台湾の水鳥を守る会, 宮城昆虫地理研究会,
宮城植物の会, 緑を守り育てる宮城県連絡会議,日本自然保護協会,
日本景観生態学会, 自然環境復元学会, 東北学院大学災害ボランティアステーション