文語訳旧約聖書改訳原稿 マラキ書 1946年(昭和21)

資料名

文語訳旧約聖書改訳原稿 マラキ書 1946年(昭和21)

解説

文語訳聖書は戦時中、改訂作業が開始され、戦後もそれは継続されました。しかし、実際、分冊として出版されたのは『詩篇』(1948年)と『ヨブ記』(1950年)のみです。1951年から口語訳聖書の翻訳作業が開始されたため、文語訳聖書の改訂は先の二書以外、公になりませんでした。これまで、文語訳改訂がどの程度の規模で進められていたのか定かではありませんでしたが、日本聖書協会には日の目を見ることがなかった翻訳原稿が数多く残されていることが調査で明らかになりました。この資料はその一部である『マラキ書』の改訳原稿です。

『マラキ書』の第二稿は、『ルツ記』の原稿と合わせて閉じられています。謄写版で作成され、閉じられた第二稿は、表紙に「ルツ記 マラキ書(未定稿) 添書 第二回稿」と記されていました。この原稿がいつ記されたのか定かではありませんが、原稿には聖書協会の印と共に「21.3.6」という数字の印も確認できるため、おそらく昭和21年(1946年)3月6日に聖書協会が受理したと考えられます。日本聖書協会『日本と聖書』第5巻第1号(昭和23年3月発行)にある「舊約改譯の其後」には、「改譯の完成は昭和二十五年の予定であるが、それまでに詩篇をはじめヨブ記、十二豫言書、その他適當なものを順次單行本として刊行したいと考へてゐる」と記されてます。それゆえ、出版された『詩篇』と『ヨブ記』以外にも、『ルツ記』と『マラキ記』が分冊として準備されており、これを見本として公にする予定であったと思われます。戦後の混乱の時代にも関わらず、このような改訳作業が続けられたことに驚くと共に、訳者たちの聖書翻訳への情熱を感じずにはいられません。