研究室INDEX

工学専攻科は4つの専攻で構成され、次世代のテクノロジーを担う人材を育成しています。

電子工学専攻
ナノ物性材料研究室

鈴木 仁志

鈴木 仁志 准教授

学位:博士(理学)


100万倍まで拡大して試料を観察することができる透過型電子顕微鏡

実際にナノ粒子を作製し、ナノ領域に
現れる特異な現象について研究

様々なナノ粒子を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子の形態、構造を観察。試料の作製、観察、解析を通して、ナノ領域に現れる特異現象を結晶成長の観点から研究しています。

研究テーマ
無機材料を中心としたナノ領域に現れる特異現象の解明
ナノ粒子の相転移・結晶成長を利用した材料開発
研究キーワード
ナノ材料 ナノ物性 電子顕微鏡 薄膜 など

先生はこんな人 - Personal Data -

学生に読んで欲しい本を1冊ご紹介ください。
『自然化学実験ファンダメンタルズ』(東北学院大学工学部の教科書)
その本を読んで欲しい理由を教えてください。
この教科書に限らないが、学生実験書には基本的な物理定数などがいかにして導出されてきたのか、どのようにして見る、測るという行為を行ってきたかが書かれている。我々が普段利用している自然科学のエッセンスが詰まっている。
現在気になっているコト・モノと、その理由を教えてください。
楽しんで実験に取り組んでいれば、次々とアイデアが浮かんでくる。自分で思いついたアイデアを実際に試し、形にする経験を積んでいってほしい。
研究を通して学生に伝えたいことは何ですか?
クリーンエネルギーと呼ばれる太陽光発電、燃料電池が気になっている。環境負荷、経済性などの問題ばかりに注目が集まっているが、作製するための資源量、耐久性、リサイクルの問題をいかにクリアしていくのかについての議論が少ないように感じている。
研究に取り組んでいて、楽しいと感じる瞬間は?
電子顕微鏡中でナノ粒子が予想外の挙動を示した瞬間。全く原因が分からなかった現象を説明できる理屈をひねり出した瞬間。
研究に取り組む上でのモットーは?
何でも発言できること。まずやってみること。
研究室の雰囲気や特徴について教えてください。
研究室内では、思いついたことをすぐに行動に移せる雰囲気作りをしていきたいです。
今一番力を入れて取り組んでいる研究をひとつ教えてください。
自動車用燃料電池に用いられている触媒の劣化原因について研究しています。現在も様々な新触媒が提案されていますが、その劣化問題についてはあまり議論されておりません。新触媒の候補材料についてもナノ粒子化した場合の劣化機構について議論しております。
その研究が実用化されると将来どのように活かされるでしょう。
自動車用に限りませんが、燃料電池を用いることで分散電源化と熱電併給が可能になり、エネルギーの高効率利用が促進されることを期待しています。
先生ご自身が大学院を目指すきっかけは何でしたか。
子供の頃から技術者あるいは研究者になることを考えていたため、大学院進学は考えていました。実際に大学生になってからの進学のきっかけは自分で作ったナノ粒子が形態変化を起こすことを発見したことです。変化の原因を探っていくうちに未知の現象に挑戦する楽しみを知り、大学院進学を具体的に考えるようになりました。
先生ご自身はどんな大学院生でしたか。
博士前期課程の頃は研究室の先輩との折り合いが悪く、あまり熱心な学生とは言えませんでした。どちらかというと勝手に実験を進めて一人で悩んでいることが多かったと思います。後期課程に進んでからは実験を楽しめるようになり、後輩と電子顕微鏡室にこもって朝から晩まで実験しておりました。
大学院生時代、どんなことに夢を抱いていましたか。
30年後必要とされる人材になること。
研究を通して、今先生が未来に抱く「夢」とは。
燃料電池研究で見えてきたことは、成果目標の数値のみにとらわれていては超えられない壁があるということです。ナノ粒子に現れる不思議をまず理解することからはじめ、現象の理解を基に、資源量、耐久性など燃料電池の根本的問題が解決されることを希望しております。分散電源化と熱電併給によるエネルギー高効率利用社会が実現され、日本のエネルギー問題が解決される未来を夢見ております。 また学生には研究室に入って研究をするという経験を通して、未知の現象に出会うこと、その現象を解明することを楽しめるようになって欲しいと考えております。その上で、将来未知の分野に挑戦し、切り開ける技術者、研究者として育っていってほしいと希望しております。