東北学院大学地域連携センター

お知らせ

コミュニティソーシャルワーカー(CSW)スキルアッププログラム修了生職場訪問

 東北学院大学は、地域で活躍する人財の育成を目的として進めているコミュニティソーシャルワーカー(CSW)スキルアッププログラムを受講された修了生のフォローアップの一環として、活動の場を訪問し活躍の様子を拝見しながらお話を聴いています。
今回は、2016(平成28)年度にプログラムを受講された、第一期生の佐藤尚美さんです。佐藤さんは、石巻市北上町を活動の拠点にして、まちづくりや白浜再生など、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた地域の活性化のために様々な活動を展開しています。
 現在は、「コミュニティ・なりわい・集落」の三つの再生を柱に活動する、まちづくりグループ「WE ARE ONE北上」の代表を務めています。
2019年6月23日、白浜再生事業として行っている「白浜de朝ごはんの会」にお邪魔してお話を聴いてきました。











(本間) 今、どの様な仕事(活動)をされていますか?
(佐藤さん) 
 現在取り組んでいるのは、大きく四つあります。①地域自治システムの構築事業、②公共空間活用創出事業、③復興支援員設置事業及び④地域おこし協力隊設置事業です。①地域自治システムの構築事業と②公共空間活用創出事業の二つが、地元での活動の中心的な事業になります。
 ①地域自治システムの構築事業は、住民アンケート(回収率92.2%)等を行いながら、伝統的な自治会活動を下にしつつ、現在の生活課題に向き合えるように見直しを加えるなどの提案をしています。地元自治活動では、40くらいの役職があり、それに費やす時間は、1,000時間くらいあります。この時間を今後の生活課題の解決に向けたいと思っています。
 ②公共空間活用創出事業は、行政の施設を民間に創意工夫で如何に活用するかを具体的な活動を通して実証しています。今日行っている「白浜de朝ごはんの会」は、この事業の代表的な事例です。






























 ③復興支援員設置事業及び④地域おこし協力隊設置事業は、私自身も経験した復興支援員や地域起こし協力隊が地域で活躍できるように、まちづくりグループ「WE ARE ONE北上」との協働等により活躍の環境づくりを調整したりしています。

(本間) CSWスキルアッププログラムで印象に残っていることは何ですか?
(佐藤さん) 異業種の受講者の交流です。特に、社会福祉協議会にお勤めの方とじっくりお話しする機会は、これまで少なかったので、話し合いができて視野が広がった感じがあります。実は、これまで余り良い印象は正直持っていなかったのです。でも、こうした機会を持てて、これまでの、お互いが何らかの制約を前提として話し合っていたのが、どんな地域にしたいのかに立ち戻ってお話しをすることで共通項が出てくることを学びました。
修了式の東北学院大学応援団からのエールも印象的でした。驚いたのと感激したのが入り交じった感覚でした。
(本間) 授業で印象に残っている科目は何ですか?またその理由は何ですか?
(佐藤さん) 「事例研究ⅠA・B」、「事例研究ⅡA・B」、「ソーシャルワークとコミュニティソーシャルワーク」、「組織運営」、「ファシリテーションの実際」及び「傾聴の技法」です。
 「事例研究ⅠA・B」、「事例研究ⅡA・B」では、地域内の小さな事に目が行き届いていることがとても勉強になりました。「ソーシャルワークとコミュニティソーシャルワーク」は、基本を学びロジカルに物事を考えることの必要性を再認識しました。「ファシリテーションの実際」は、私の苦手分野だったので、
技術の大切さを知る機会になりました。「傾聴の技法」では、これまで人の話しをしっかり聴いていなかったなって確認しました。最終的には、人の話を聴くというのは、自分との対話なのだと思いました。それから、1対1の講義をしていただき有り難うございました。

(本間) 現在受講されている方(第四期生)への応援メッセージ
(佐藤さん) 受講する科目は、社会の多様な「問題」の中から、時間という制約条件がある中で考えられ、設計していただいているカリキュラムです。私の場合は、受講中はそれに気付いておらず、自分の職場や業務とは直接的には関連性が薄いという認識で受講してまったことも多かったのですが、自身の思考や日常から一旦離れて無心で学ぶということが、後にその意味を知るきっかけになると思います。自分は何者か?は脱ぎ捨てて受講すると、得る物はとても大きいと思います。

(本間) まだ受講されていない方々へ、メッセージをお願いします。
(佐藤さん) 社会人になり、働きながらプログラムを受講するというのは時間の調整や、確保という面で不安でしたし、実際に大変でしたが、わたしの場合は、自身のこれまでの取り組みを振り返り、評価・検証をするという意味も含めて受講を決めました。自身の活動を、学術的、論理的に振りかえり、改めて言語化する機会や、軌道修正、反省、そして自己を肯定する機会は常に現場の渦中にいると多くはありませんので、ぜひ、お勧めしたいプログラムです。

 〈佐藤さんの活動の様子を見ての感想〉
 佐藤さんは、地元の方だからと言うことだけでなく、地域にしっかり腰を据えて活動している印象がありました。「白浜de朝ごはんの会」の企画内容一つをとっても、地元の方々や地元食材を生かした、奇をてらわず身の丈に合った活動に仕上げていました。また、地元の方々が手弁当でこの活動を支えています。こうした様子からも、佐藤さんが地域の方々に信頼され、新しい地域づくりの担い手として期待されていることがうかがえました。
 白浜集落は震災の津波で全壊し、全域が危険区域に指定され、新たな集落が近くの高台に整備されています。こうした状況の中で、元の集落があった場所を多くの人が集まれる場所として整備し、白浜海水浴場として賑わった白浜集落の新しい姿を創ろうとしています。こうした場所で、東北学院大学CSWスキルアッププログラムで学んだ佐藤さんが活躍しているというのは、この事業を進めている私たちにとっても、大変嬉しいことです。これからも、更なる活躍をご期待しています。