研究最前線リポート機械工学専攻 02

Professor Report

原子・イオンの拡散現象を活用し、
金属微細材料の信頼性向上。

◎ 李 渊 准教授

太陽電池やタッチパネルなど、次世代光電デバイスに欠かせない薄膜である透明導電膜。現在その主役となっているのは酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜ですが、材料にレアメタルのインジウムを要するなど、いくつかの難点があります。

その代替材料として期待されているのが、透明性・導電性・柔軟性を持つ金属微細ワイヤネットワークです。しかし、その高性能化を目指す作製手法の開発が盛んに行われている一方、電気的破壊に関する信頼性確保の研究は、現在のところ未開拓という状況です。

そこで私は、原子・イオンの拡散現象を活用し、新たな金属微細材料の創製手法を開発すると共に、構造材料としての力学特性および機能材料としての電気的特性を評価し、透明導電膜などへの応用を実現するための信頼性向上に関する研究に取り組んでいます。

メダルに表裏があるように、従来は抑制すべき拡散現象を材料創製として有効利用できることが、この研究の面白さだと感じています。このアイデアをさらに展開し、金属微細材料の簡便かつクリーンな作製方法を開発することで、透明導電膜やガスセンサの信頼性向上に貢献していきたいと思います。

「学如逆水行舟、不進則退」──学問は、流れに逆らって舟を漕ぐが如く、努力し続けなければ後退してしまうもの。独創的なアイデアを、日々の努力と試行錯誤で実現させることが、私の研究室のモットーです。

Student Report

博士前期課程2年 知能材料工学研究室
川崎 貴大

日々、着実に前進することが目標を達成する道であると信じて。

レアアースを含まない永久磁石材料の開発をテーマに研究を行っています。その研究はアーク溶解法により秤量した試料を一気に溶解し、炉で均質化熱処理・加工し、以降はX線回析測定や磁化測定などの特性評価を行っていきます。実験には質の高い材料の開発が不可欠で、一つの材料を作製し評価するまでにはとても多くの時間を要します。研究をスムーズに進めるためにも一つひとつの実験を慎重に、効率の良さを意識しながら行っています。今は学会賞を受賞することを目標に、日々計画を立て着実に実験を進めるよう心がけています。毎週ゼミの活動報告会もあるので、日々少しずつでも前進することが目標を達成する近道であると信じて努力しています。