

1989年東北学院大学大学院工学研究科電気工学専攻前期課程修了。1989年より岩手医科大学助手、2002年より東北学院大学工学部准教授などを経て東北学院大学工学部電子工学科教授、現情報基盤工学科教授。

現代社会において、工業技術をはじめとする様々な分野で、変形する線状構造やその接続関係を含む画像から対象の構造を把握する技術は重要性を増している。しかし、複雑に絡み合う電線やパイプライン、さらには生物の複雑な構造などを前に、従来の画像認識技術は「見えているのに理解できない構造」という限界に直面していた。形だけでなく、その背後にあるつながりを読み解く技術が求められ、研究され続けている。
志子田教授が挑むのは、画像から細線構造を分離し、接続関係を復元する「構造理解AI」の研究だ。画像を単なる領域として扱うのではなく、線の中心を示す「骨格(スケルトン)」や方向情報などの構造的特徴として表現し直し、統合的に学習するモデルを構築している。生成データによる学習と推定アルゴリズムを組み合わせ、地道な実験を重ねてきた。
「現在、単純な条件下では細線構造の骨格抽出と分離で精度の向上を確認しており、接続関係の一部を復元できる段階にあります。しかし、似た構造を誤って同一視する問題や、複雑な交差部分で正しく分離する難しさが課題として立ちはだかっているのです。」
見えている情報を、どう構造として理解させるか。難問への挑戦が続いている。
研究の面白さは、単なる「形」だけでなく、背後にある「構造」を読み取る点にある。人間には直感的に理解できる接続関係を、どうAIに学ばせるのか。試行錯誤が続くが、自らの仮説が形になる過程に、志子田教授は強い充実感を見出している。
「表面的な精度向上にとどまらず、本質的な問題に向き合い続ける研究者でありたいと考えています。」
この言葉に、未知の領域を切り拓こうとする研究者としての信念が宿る。今後は、複雑な条件下でも安定して構造を復元する手法へ発展させ、線や接続関係を含む画像解析技術として磨き上げる。将来的には、画像認識から構造理解へと広がる基盤技術の確立を目指す。
「うまくいかない時間の方が長いですが、その過程で考え続けること自体に価値があります。自分の興味を軸に粘り強く取り組むことが重要だと思います。」
そう学生たちにエールを送り、自らも次のステップに挑む。地道な歩みの先に、画像の構造を読み解く新たな可能性が広がっている。今後が期待される研究である。