

1993年電気通信大学大学院電気通信学研究科博士前期課程修了。2000年学位取得[工学(博士)]。鈴鹿工業高等専門学校電子情報工学科助手・講師、東北学院大学工学部電気情報工学科准教授を経て、2019年より同学部情報基盤工学科教授。

生活の中で人々が感じる「安全性・利便性・快適性」は多種多様で、場所ごとに条件が異なる。人間の行動や感じ方を調査し、建築・都市計画の指針策定に寄与することが、恒松教授の研究目的だ。快適性においては、主に良好な都市景観について研究を進めている。
「高度成長からの急激な都市化により、失われつつある景観の地域性を次世代に継承するため、景観法という法律があります。この法律は国内ではめずらしく地域ごとにその方針を決めることができます。しかし、地域ごとの基準を定めるのは非常に難しいことです。本研究では、街並みや屋外広告物などの視点から調査を行い、地域の特色を提案しています。」
これまでに複数の自治体へ、景観計画策定の基礎資料として研究成果を提供した。
「ある地域で得た成果が、他の地域にも適用できるわけではありません。地域が主体で活動することの重要性が改めて確認できました。」
また、安全性については、建物からの避難をテーマに取り組んでいる。
「図書館の閉架書庫内にいる人が、避難時にどのような行動をするか、現地で実験しています。地震で停電した場合、明るい方や広い通路に向かうといった、状況による行動特性などを調査しています。」
建築・都市空間は、工業製品のように試作することができない。つくってから不備があったとしても、数年から数十年は存在し続けてしまうものだ。
「だからこそつくる前のシミュレーションが重要であり、その成果が確かな指針となることを目指しています。」
都市の未来に関わる研究をする上で、常に心がけているのは「絶対」や「普通」といった考え方をしないことだという。
「思い込みは、新たな発見を放棄する行為です。たとえば景観では、同じ自治体内でも中心部か住宅地かで考え方が全く異なります。人間の行動では、想定外の結果に驚くことも多々あります。全く異なる条件で共通する要素が見つかった時などは、研究の面白さを改めて実感します。」
大学院進学を目指す若者にアドバイスしたいのは、修了後の目標を持つこと。明確でなくても、将来の指針づくりをすること。
「大学院=研究者ではなく、自分が進む分野の専門性を高める時間と考えれば、きっと有意義な時間が過ごせるでしょう。」