研究最前線リポート電気工学専攻 02

Professor Report

人間の認知特性を活用し、
誰でも作業しやすく。

◎ 木村 敏幸 准教授

ヒューマンインタフェースによる作業支援システムを実現するための研究と、マルチモーダル情報処理知覚過程に関する基礎研究に取り組んでいます。

作業支援システムを実現するための研究では、身の回りのモノの「使いづらい」点を改善し、作業をよりスムーズに進めるためのシステム開発に取り組んでいます。

その一つが、遠隔操作コックピットのための音提示システムです。運転手が身の回りの異常音をより素早く判断するために、適切な三次元音空間を表現できるキューブ型スピーカアレイを用いたシステムを開発しています。

二つめは、大画面監視システムのための音提示システムです。異常カメラからの音をより素早く判断するために、常に異常カメラから音が出ているように感じるMVP(Multiple Vertical Panning)方式を用いた大画面ディスプレイシステムを開発しています。

また、マルチモーダル情報処理知覚過程に関する基礎研究では、腹話術効果に着目し、①音と映像が垂直方向にずれている場合、②複数の視聴位置で視聴した場合、③映像ディスプレイの後ろ側から音が出ている場合の効果について研究を進めています。

これらの研究成果を基に、人間の視覚や聴覚などの認知特性を最大限に活用し、誰でも上手に作業できるシステムを開発することを将来的には目指しています。

Student Report


高精度かつ簡素なシステムで実用的な遠隔操作ロボットを。

博士前期課程1年 情報インタラクション研究室
繁泉 宥斗

私の研究テーマは、ロボット(自動車やドローンなども含む)を遠隔操作するコクピットのための音提示システムです。ロボットの周囲の音場を、操縦者の周囲に再生することにより臨場感を高め、危険察知能力などを向上させることを目標とした研究です。

既存の遠隔操作用音提示システムには、バイノーラルやトランスオーラルなどの技術がありますが、それらの技術ではロボット側に操縦者の頭部の動きと連動するダミーヘッド型の集音器が必要で、操縦者側には頭部の動きを検出するセンサーが必要であり、大がかりなシステムとなってしまいます。

この課題を解決すべく、本研究ではロボット側で8個のマイクロホンアレイによって収音し、操縦者側で8個のスピーカアレイによって音場再生するシンプルなシステムを構築し、その効果を実験しています。現在は「集音・音場再生・映像取得・映像再生」の各担当グループで研究していますが、今後はこれらを統合し、より精度の高い実用的な遠隔操作システムを実現したいと思っています。