研究室・設備ピックアップ|電子工学専攻

充実した設備環境が研究の最先端を切り拓く

半導体材料デバイス工学研究室 原 明人 教授 学位:博士(理学)
【主な研究】 新構造を有する薄膜トランジスタの開発、フレキシブルエレクトロニクスに向けたゲルマニウム薄膜トランジスタの開発、半導体3次元集積技術の開発など

オンリーワンの技術を創出し、
自らそれを駆使して世界初の半導体デバイスを開発。

AIやIoT時代を迎えて半導体の重要性が加速度的に増し、その技術革新に関わる研究は世界中から注目されている。本研究室は、世界初の半導体結晶成長技術やプロセス技術を開発し、オンリーワンの技術を駆使して新たな半導体デバイスを開発するため、さまざまな研究に取り組んでいる。その1つが「新構造を有する薄膜トランジスタの開発」だ。この研究により、高性能化と低消費電力化を実現可能な、4端子構造を有する2つのタイプ(平面型・垂直型)の薄膜トランジスタ開発に成功した。また、低温でデバイスプロセスの構築が可能なゲルマニウムに注目し、「フレキシブルエレクトロニクスに向けたゲルマニウム薄膜トランジスタの開発」にも注力している。この研究は、プラスチック上にゲルマニウム薄膜トランジスタからなるCMOSデジタル回路の実現を目指すものだ。さらに「トランジスタの3次元集積化技術」の研究も進めている。シリコンとゲルマニウムからなる異種半導体において、CFETやM3Dなどの3次元集積を実現することでフットプリントを縮小し、ガラスやプラスチック上での高集積化が可能になる。ガラスは透明・安価で大面積を得られ、プラスチックは変形の自由度が高い。これらの基板上に高集積化ができれば、透明で存在を意識させず、環境に溶け込んだLSIを実現できる。また、薄膜トランジスタや集積化技術は、IoTエッジデバイスやセンサへの展開が可能だ。これらの応用についても並行して研究を進めている。研究室で実現した成果は、特許出願および学会発表、論文執筆を行うよう学生を指導している。2006年に本研究室が発足して以降、研究室メンバー(院生と原教授)が筆頭著者および責任著者となった査読付き英文ジャーナル論文を多数発表してきた。本研究室では、各学生に個別のテーマを与えている。トランジスタ開発という主目的は全員共通だが、各人で創意工夫をして独自のテーマ実現にチャレンジしてほしいと考えている。半導体デバイス実験室はクリーンルームであり、デバイス形成用の各種プロセス設備が整っている。それらを駆使して、存分に研究に打ち込んでほしい。人材育成の場としても力を入れており、半導体デバイスメーカーや大学などで活躍する研究者も多数輩出している。

透過型電子顕微鏡

透過型電子顕微鏡
透過型電子顕微鏡は光学顕微鏡と似たような構造をしており、光のかわりに電子線を用いることで、数nm程度の大きさの試料まで観察できるようにした装置です。試料の形態観察だけでなく、構造を反映した電子回折パターンも同時に撮影することができます。
ナノ物性材料研究室/鈴木 仁志 准教授

フォトリソグラフィシステム

フォトリソグラフィシステム
半導体デバイスの研究はパーティクルが無いクリーンルームと呼ばれる部屋で行われる。クリーンルーム内では防塵着を着て実験を行う。写真はクリーンルーム内に設置されたフォトリソグラフィ工程用のイエロールームと装置群である。
半導体材料デバイス工学研究室/原 明人 教授

EMC電波暗室

EMC電波暗室
家電製品等から副次的に発生する微弱な電磁波は、他の電子機器の作動を妨げるなどの影響を与える場合があります。これらの電磁波を正確に観測するための部屋がEMC電波暗室です。外からの電磁波を遮断し、さらに内部の壁面反射を抑えることで微弱な電磁波を正確に測定します。
情報伝送工学研究室/川又 憲 教授