先端を駆ける研究者たち|空間情報学研究室

空間情報を可視化することで、誰もが利用しやすいツールを開発。空間情報を可視化することで、誰もが利用しやすいツールを開発。

PROFILE

2007年関西大学大学院総合情報学研究科博士後期課程修了。宮城大学事業構想学部デザイン情報学科助手・助教を経て、2017年より東北学院大学工学部情報基盤工学科准教授。

GIS活用で自治体復興整備計画を支援

スマートフォンの地図検索やカーナビゲーションなど、空間情報は、私たちの生活に欠かせないものとなってきた。
「その空間情報をさらに利活用することを目的に、デジタル地球儀を用いた空間的可視化による地域防災支援など、さまざまな研究に取り組んでいます」。
その1つが、GIS(地理情報システム)を用いた被災自治体支援だ。
自治体と共同で進めるこの研究では、復興後の居住域変化に伴う公共交通の改善計画づくりにおいて、GISを活用して統合的な空間分析を行っている。
「乗降者数、地区別人口年齢構成、公共施設や店舗の分布、津波浸水域などの情報をGISで分析し、Google Mapsで可視化して利用できるようにしました」。
この成果をもとに、自治体の震災復興情報を可視化する研究へ展開させた。これは復興整備計画の情報などを、Google Earth上で可視化できるもので、震災アーカイブや観光情報などにも応用できる。

数値を空間的に可視化して一目瞭然に

専門家でなければ数値の羅列にしか見えないような情報を、空間的に可視化して「誰にとっても一目瞭然」にする。その効果は大きく、可能性に満ちあふれている。
「オープンデータの活用にも役立てたいと思い、研究を進めています。国や自治体が公開する情報を、Google Earthなど多くの人が使えるツールによって、わかりやすい形で得られるようしています」。
現在は、オープンデータの可視化を地域防災支援に向けて進めている。
「地域防災は、行政の取り組みだけでは限界があり、地域住民1人1人が防災意識を高める必要があります。防災情報をより入手しやすく、わかりやすくすることで、その一助になれば幸いです」。
さまざまな数値データを可視化する上で難しいのは、CSVやExcel、PDFなど多種のファイル形式に応じた変換処理が必要なこと。それぞれに適した可視化表現を検討して汎用性を高め、地域防災以外にも広く活用される技術への進化を目指す。
「もともと地図が好きで、それが高じて研究の道を歩み始めました。何か好きなことがあって、それを追求したいという人は、ぜひ大学院に進学してほしいですね。学生が一緒に興味を持って楽しめるような研究室でありたいと思います」。