先端を駆ける研究者たち|ナノ物性材料研究室

ナノメートルサイズの物質を作製し、特異現象を観察・解析。ナノメートルサイズの物質を作製し、特異現象を観察・解析。

PROFILE

2002年立命館大学大学院理工学研究科総合理工学専攻博士課程後期課程修了、博士(理学)。2002年立命館大学理工学部年限付講師、
2006年東北学院大学工学部電子工学科講師などを経て、2017年より東北学院大学工学部電気電子工学科准教授。

結晶成長の観点からナノ粒子を研究

1μm未満という極小サイズのナノ粒子は、同じ物質でできた大きな粒子とは異なる多彩な特性を示す。鈴木准教授はその現象を調べて機構を探り、従来材料にはない優れた性質を持つ新材料開発を目指す。
「さまざまな条件でナノ領域サイズの物質を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてその形態、構造、相転移、反応過程などを観察・解析しています」。
ナノ領域に現れる特異現象を、結晶成長の観点から研究し、これまでに炭素の結晶化が金属の結晶化過程と関係していることを明らかにした。現在は、ナノ粒子の成長において、シリコンの細長い結晶が成長する現象を調べている。
「TEMは動的観察ができるため、ナノ粒子や薄膜の変化過程を、目の当たりにしながら観察できます。変化が起こる過程に立ち会えることに面白さを感じます」。
未知の現象に出会い、観察できること自体が興味深いため、思わぬ結果が出ることに、より面白みを感じるという。
「理学出身なので『利益の出る研究』にはあまりこだわりません。成果ありきではなく、思いつきで言ってみる、人の意見を頭から否定しない、まずやってみるという姿勢で学生さんにも研究に臨んでもらいたいと考えております」。

新たな一歩を踏み出せば道は拓かれる

子どもの頃から、研究者になりたいという漠然とした思いはあったが、本格的に取り組むきっかけとなったのは、学部2回生時の恩師との出会いだった。
「まだナノ粒子という言葉もない時代に、TEMを触らせてもらいました。自分で作った超微粒子が形態変化を起こすことを発見して、その原因を探っていくうちに、研究にのめり込んでいきました」。
自身の経験に基づき、研究室内では、学生たちが思いついたことをすぐに行動に移せる雰囲気づくりを心がけている。
「大学院は、自分の研究に100%没頭できる貴重な期間です。どうか納得いくまで研究活動に励んでほしい」。
ナノ材料は、エネルギー、情報、医療など幅広い産業分野を支える技術として期待されている。未発見・未解明の現象も多く、チャレンジできることはいくらでもある。
「結果の分からないことに取り組む。分からないから実験を行う。僕の前に道はなく、僕の後に道はできる。研究者の道とはそういうものだと思っています」。