夢を追う若き研究者たち

触覚VR普及を目指すモデリング研究。

博士前期課程1年 バーチャルリアリティ研究室
鈴木 裕也さん

【RESEARCH THEME】
バーチャルリアリティにおける触覚提示の実現を目指した柔軟物体モデリング

バーチャルリアリティ(VR)で柔軟な質感の物体に触れるコンテンツを作成するには、まずその物体をモデリングする必要がある。しかし、柔軟物体のモデリングには多大な手間がかかる。
「そこで、モデリングを簡略化し、従来よりも低コストで触覚VRコンテンツの開発を可能にしたいと考えました」。
実験は、柔軟物体サンプルの力覚情報を、3軸ロボットやモーションキャプチャなどで測定し、その取得情報と最適化アルゴリズムを用いてシミュレーションする手法で行う。
まだシンプルな実例ではあるが、数値解析ソフト「MATLAB」による最適化アルゴリズムを実装することで、手応えのある成果を得ている。
「大学時代、ディープラーニングや機械学習とVRを組み合わせて、何か面白いことがしたいと考えていたところ、本研究室に出会いました。やりたいことが明確になり、大学院に進んでじっくり研究に取り組もうと決めました」。
触覚VR技術は、エンターテインメントや工業、教育など幅広い分野で活用できる。手術シミュレーションへの応用など、医療の発展にもつながる。
「大きな可能性を秘めた触覚VRを、より導入しやすくする研究で、普及促進の役に立てたら嬉しいです」。

【PROFILE】
2015年クラーク記念国際高等学校卒業。2019年東北学院大学工学部機械知能工学科卒業。卒業論文タイトル「負圧駆動人工筋肉を用いたハプティックグローブの開発」。

人の演奏に調和する自動伴奏システム。

博士前期課程1年 情報インタラクション研究室
安部 綾太さん

【RESEARCH THEME】
オーディオ信号対応システムの開発

シーケンサで自動伴奏を行うとき、従来のシステムは、人がコンピュータの演奏に合わせるものが主流だった。
「この自動伴奏をより使いやすくするため、コンピュータが人に合わせて演奏するシステムを研究しています」。
フットペダルで人が合図を出すことによりコンピュータが演奏を行うシステムは、学部生の時にMIDIを用いて開発に成功している。現在は、オーディオ信号を用いたシステムの開発を目指す。
「もともと音楽好きでプログラミングにも興味があったので、とても楽しみながら研究に取り組んでいます」。
実験はまず、曲のどの部分を用いれば効果的か、検討しつつプログラムを組む。次に、実験用システムでユーザビリティテストを行い、有効性を検証する。それを繰り返し、磨き上げていく。
「多くの被験者に協力してもらう実験なので、人によって全く異なる結果が出ます。そこが難しさでもあり、面白さを感じるところでもあります」。
じっくりと時間をかけて、研究にとことん打ち込めるのが、大学院の魅力だ。この恵まれた時期を無駄にせず、日々何かしらの進歩をしようと決めている。
「将来は開発職に就きたいです。自分が提案したものが、世の中で日常的に使われ、役に立てたら嬉しいですね」。

【PROFILE】
2015年宮城県仙台南高等学校卒業。2019年東北学院大学工学部電気情報工学科卒業。卒業論文タイトル「ペダル操作による自動伴奏システムの評価」。

磁性材料研究で記録媒体の性能を向上。

博士前期課程1年 スピンエレクトロニクス研究室
片山 靖和さん

【RESEARCH THEME】
Mn3-xFexGa合金薄膜の作製と磁気特性

情報技術の高度化に伴い、膨大な情報を処理・記録するために、デバイスの高密度化や省エネ化への要求も、加速度的に高まっている。
そんな中、従来の主流記録媒体である揮発性メモリに対し、データ保持に電力を必要としない不揮発性メモリ「磁気抵抗RAM(MRAM)」が注目されている。
「このMRAMの性能を、より向上させる磁性材料として、新たな合金薄膜を開発する研究に取り組んでいます」。
研究室ではMn-Ga合金薄膜の研究を進めてきたが、その結果を踏まえ、さらに膜厚を薄くしても磁気特性が劣化しない材料を目指し、Mn3-xFexGa合金薄膜を作製して性能実験を行っている。
現在までの成果として、垂直磁気異方性エネルギーの上昇を、確認することができている。
「電子機器が小型・薄型化するのを肌で感じて育ち、数nmという超微細な試料を扱う技術に魅力を感じていました」。
大学の工学部を受験する段階で、大学院進学の意思を固めていた。ここで出会った先輩方の姿に憧れ、将来は研究職に就きたいと考えるようになった。
「環境問題やエネルギー問題の観点からも、スピンエレクトロニクスは重要な技術だと思います。研究すればするほど、面白さと意義を感じます」。

【PROFILE】
2013年美田園高等学校卒業。2015年東北学院大学工学部電子工学科卒業。卒業論文タイトル「Mn3-xFexGa合金薄膜の作製と磁気特性」。

省エネ・創エネで理想のまちづくりを。

博士前期課程2年 建築環境工学研究室
片方 一成さん

【RESEARCH THEME】
水素エネルギーと再生可能エネルギーによるエネルギー自立型街区に関する研究

「枯渇が懸念される化石燃料に代わり、自然界に無尽蔵に存在する再生可能エネルギーや、そこから生成できる水素エネルギーの活用に焦点を当て、外部からのエネルギー供給がなくても自立できる街区の検討をしています」。
研究は、仙台市に隣接する仮想の街区を想定し、実在する太陽光発電や燃料電池のスペックを用いて、街区の電力収支をシミュレーションする方法で行う。
また、自宅の消費電力を計測し、削減できる電力がないかをモニタリング。その結果をシミュレーションに落とし込むことで、省エネの検討も行っている。
「実用性を重視し、現実とかけ離れた想定をしないよう心がけています。なんだか、常に研究内容を考え続けているような生活です。そんなふうに力を注いだシミュレーションが、数値として目に見える形になり、実現可能かもしれないと思える瞬間は、本当に楽しいです」。
現在までに、太陽光発電と燃料電池を用いた街区が、自立可能であることがわかった。そのために必要な発電機器の容量なども判定できる。
「次は、その街区が環境に与える影響について検討していく予定です。この研究を通して、環境にやさしく省エネ・創エネができる、理想的なまちづくりに貢献したいと思っています」。

【PROFILE】
2014年宮城県泉高等学校卒業。2018年東北学院大学工学部環境建設工学科卒業。卒業論文タイトル「燃料電池と太陽光発電によるエネルギー自立型街区に関する研究」。