東北学院大学

学長の部屋

2026年度入学式式辞

本日ここに、2026年度入学式を挙行するにあたり、新入生の皆様に心よりお祝いを申し上げます。またこの日を迎えた保護者の皆様の喜びはいかばかりかとお察し申し上げます。保護者の皆様とともに一堂に会した入学式を、ここゼビオアリーナ仙台において2回に分けて挙行することができ、本当に喜ばしい日となりました。

皆さんは、選ばれて入学の権利を勝ち取られ、今日から東北学院大学の学生になりました。私たちは皆さんを一人ひとりかけがえのない人格として尊重し、受け入れ、これから卒業まで全力で支えていくことをお約束します。

東北学院大学は、9つの学部と、6つの大学院研究科、学生総数11,000名を擁する東北・北海道地区最大の私立総合大学であります。日本で最初のプロテスタント教会の一員となった押川方義、その押川を支えて学院設立に尽力したアメリカ人宣教師ウィリアム・ホーイによって、1886(明治19)年、仙台神学校として、最初は2名の教師、6人の学生からスタートし、今年で創立140年を迎えます。仙台神学校は5年ほどで、「東北学院」(North Japan College)と名称を変え、ホーイの後継者であるデヴィッド・シュネーダー宣教師の下で発展し、1949年に大学となり、創立以来、総計20万人を越える卒業生を世に送り出してきました。

まず本学の教育理念の基盤、これを「建学の精神」といいますが、それは、プロテスタント・キリスト教による人格教育であります。私たちは、この建学の精神を、LIFE LIGHT LOVEというスクールモットーとして説明しています。これは、東北学院の卒業生の間で、長い間親しまれている言葉であります。LIFE(いのち)とは、有限な生命体の命と、神が自らの似姿として創造された個人の尊厳を互いに大切にすること、LIGHT(ひかり)とは、学問や科学の成果によって新しい時代を切り開くこと、LOVE(あい)とは、隣人愛をもって地域や世界に仕えることを意味しています。

この建学の精神によって、毎日10時20分から五橋の押川記念ホールと土樋のラーハウザー記念東北学院礼拝堂において大学礼拝が行われています。心を落ち着かせ、静謐で厳粛な大学礼拝に出席して、聖書を読み、メッセージを聴き、学院の根幹の精神を知り、自分とは何者か、隣人とどう向き合うべきかを考えてほしいと思います。

さて、皆さんがこれから学ぶ大学と、これまで学んできた高校の違いは何でしょうか。高校の勉強には教科書があり、教科書通りその正解を覚えていれば、大学という次の進路が約束されています。しかし、大学卒業後には、約束された次の進路はありません。大学を卒業すれば、あとは死ぬまで自分の力、すなわち、実力で生きていかなければならない市民社会が待っているだけです。皆さんは大学における4年間で、生涯をよりよく生きていくための知識や技術を身につけなければならないのです。

そのため、勉学の仕方が違います。高校時代は先生や教科書から習うという受動的な勉学態度を意味するのに対して、大学においては、学生自らが、どれほど力を身につけることができるかという、より主体的な勉学態度が求められるのです。よく大学なんて卒業できさえすればいいのだという人がいますが、大きな間違いです。もうそんな時代ではありません。学卒なんて山ほどいます。そのような人は、将来発揮すべき実力を身につけず丸腰で市民社会に出ていくようなものです。

では、実力を身につけるにはどうしたらいいのでしょうか。東北学院大学は、以下の3つの新しい学びの仕組みを用意しました。

第一は、デジタル技術の修得です。ご存じのように、大量データを高速で運ぶSociety5.0、ChatGPT、Geminiに代表される対話型生成AIの普及によって、急激な世界の変化が「暴走列車」のような勢いで進展しつつあります。皆さんは、自分のパソコンで、OS、インターネット、クラウド、データ解析などのレイヤーを駆使して、必要な情報と解答を用意していかなければなりません。私は、文系で数学受験ではないから、そのような仕組が分からなくてもよいということでは済まされなくなってきているのです。本学は昨年度、MDASHといわれている文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」において、すべての学部が、先進的な大学にしか付与されない「応用基礎レベル」に認定されました。情報学が専門の先生方が文系の学生のためにわかりやすく説明してくれます。「文理融合」の総合大学の強みです。

第二は、アクティブラーニングです。皆さんは高校時代に「総合的な探究の時間」を履修したと思います。現代社会は、複雑なメカニズムから構成されていて、例えば、法学なら法学、工学なら工学という単一の学問だけでは、課題解決はできません。そこで、課題解決型のアクティブラーニングやアントレプレナーシップという主体的な学修方法が求められます。全学生が履修できるTGベーシックの「課題探求」という科目群は、キャリア、地域、ボランティア、スタートアップなどの諸課題について、課題解決のための方法を学び、実際に調査して考え、異なる学部の学生が厳しく評価し合うような問題解決型の授業であり、さらには少人数のゼミまで配置しました。学部が異なればこんな見方もできるのかとお互いに切磋琢磨してほしいのです。そのために、大学は、土樋のホーイ記念館に、五橋のシュネーダー記念館の図書館に、東日本随一のアクティブラーニング用の施設を用意しています。

第三は、eポートフォリオといわれる「TG-folio」の活用です。ポートフォリオとはもともとは資産運用のための金融用語ですが、「TG-folio」は、学生たちが自分の学修成果を振り返り、目標に対してどれぐらい力を身につけたかをパソコンで確認することができる仕組みです。就活といわれる就職活動の際には、そこから「ディプロマサプリメント」といわれる証明書をダウンロードして、それを求人先に見せることになります。そこには、学業成績のみならず、留学経験、課外活動、ボランティア、ピアサポートなどの経験にバッジが付与され、外国語外部試験のスコア・資格などが記載され、証明されるようになります。「TG-folio」を活用して学生生活を送ってほしいのです。

いま、対話型生成AIの普及によって、万人が同じ情報や解答に瞬時に取得することは容易になりました。その先に、専門の知識を修得し、デジタル技術を用いて、新しい価値を創造し、新しい時代を切り開いていくのは、皆さんがそれぞれにもつ知的好奇心と課題解決能力なのです。高等教育機関である大学・大学院での学びはそのためのものです。ぜひ豊かな教養と深い専門知識のうえに課題解決能力を身につけて下さい。

さあ、今日から東北学院大学の一員です。自分の将来の目標をしっかり立てて、体育会や文団連、サークル、ピアサポート、ボランティアに居場所を求めて友人を作り、通学に便利で、仙台の街中に最も近いアーバン・キャンパスのメリットを最大限に活かし、充実した学生生活を送ってください。

最後に、聖書の有名な言葉を贈ります。「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。叩きなさい。そうすれば、開かれる」(マタイによる福音書7章7節)。ご入学おめでとうございます。

2026年4月7日
東北学院大学 学長 大西 晴樹