東北学院大学

取り組み・活動

TG Grand Vision 150
(東北学院大学中期計画)

東北学院大学2024年度重点項目

2024年度の東北学院大学を表す聖句は、イザヤ書第11章第1節と2節(日本聖書協会共同訳)とし、特別重点項目及び重点項目を以下に示す。

「エッサイの株から1つの芽が萌え出で、その根から若枝が育ち、その上に主の霊がとどまる。知恵と分別の霊 思慮と勇気の霊、主を知り、畏れる霊」

新年早々、能登半島地震が起き、その悲惨な情景は、13年前の東日本大震災を彷彿させるものであった。聖書は、瓦礫の中からの復興を言い表す言葉として、エッサイの株から1つの芽という表現を用いている。エッサイの木に譬えられたユダヤ民族の中から、救世主であるイエス・キリストが生まれ、イエスの言葉である聖書を通じて、知恵のある人々が新しい公平と正義の世界を作り上げていく様をこの聖句は表現しているといえる。

私たちが生きている時代は、ChatGPTに代表される生成AIの出現により、人工知能による技術革新が「暴走列車」のようなスピードで進展する時代であると同時に、疫病、戦争、自然災害によって普通の市民が突然の不幸に巻き込まれる時代でもある。このような時代の特徴を認識し、正義と公平に貫かれた新しい時代を作り出していくのは、知恵と分別の霊であり、思慮と勇気の霊であり、主を知り、畏れる霊であり、キリスト教大学としての東北学院大学の使命となる。

本学は、被災地にある大学として、昨年度から新たなキャンパスと学部を与えられた大学として、2024年度は、大学礼拝において語られる聖書の言葉に耳を傾け、われわれが用意してきた教育プログラムの実行を通じて、教育研究が地域貢献、社会の発展につながるように東北学院大学の使命を果たしていきたいと考えている。

そこで、2024年度はTG Grand Vision 150第Ⅱ期中期計画(2021年度-2025年度)(以下、「TGGV150」という)に従って、2024年度の特別重点項目及び重点項目を設定する。この計画は、創立150年となる2036年度に向けたグランドデザインであり、5年ごとの到達目標であるKGI(重要目標達成指標:Key Goal Indicator)に対し、年度計画となるKPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicator)を設定し、毎年度の進捗及び成果を評価し継続的な改善により本学の発展につなげるものである。

なお、TGGV150においてこれらの施策に対して目標が設定されていない部署については、第Ⅱ期中期計画として担当部署と連携を行うこと。

1. 特別重点施策
1.1 教育・研究
学位授与の方針に掲げる知識と能力を兼ね備えた人材を輩出するために、教育内容の充実を図り、社会に求められる人材を育成する。

2024年度はキャンパス統合、新学部新学科設置、全学部において教育課程改正の2年目となる。東北学院大学の建学の精神を体現し、学修者本位の教育、幅広い知識と教養、専門教育による知識と技能の修得を目指すものである。つまり、学修者である学生が「なにを学び身につけたか」を自ら説明できるよう、不断の教育改革を進めていかなければならない。

そのためには、「建学の精神」、「教育の理念・目的」、「教学上の三つの方針」に沿った教育を実現すること、各学部において教養教育と専門教育の有機的接続を考慮したアセスメント科目の設定を行い教育成果の可視化を進める必要がある。従って、各学部においては、教育課程編成・実施の方針及びアセスメントテスト・プランを確認し、継続的な改善をしなければならない年度である。そのため、2024年度は認証評価の受審年度であり、それを契機として各学部・部署及び教員個人において、教育研究の質向上へ向けた年度とする。

また、2022年度に採択された文部科学省「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業」は、東北の地域経済発展を担うデータサイエンス人材育成が目的であり、2024年度は届出申請ののち学生募集の年度となる。また、学部においては、数理・AI・データサイエンス教育の充実が求められており、MDASH(リテラシーレベル)の全学での履修者数の増加と、MDASH(応用基礎レベル)の全学部での申請ができるよう推進していただきたい。さらに、大学院においては、総合大学としての強みを活かし、社会人のリカレント教育のみならず、社会で活躍するための専門的な知識・技能を学際的に研究できるよう抜本的な改革の方向性を確認しながら、前へ進めたい。

TGGV150 No.

B202
内部質保証のためのアセスメントプランの着実な実行
実施主体部署:政策支援IR課
連携協力部署:高等教育開発室、各学部
B203
「東北学院の教育方針」(押川(1891))を基礎とし、時代に即した教学組織編成と教養教育及び専門教育が接続した教育の提供
実施主体部署:教学組織改編推進室
B204
高等教育開発におけるインストラクショナルデザインと体系的なFDプログラムの構築と運用
実施主体部署:高等教育開発室、各学部
B205
教養教育と専門教育の接続を有機的に行い、キャンパス統合のメリット及び総合大学としての強みを活かした東北学院大学の教育力の向上
実施主体部署:教養教育センター、各学部
B232
大学院教育の抜本的改革の実現
実施主体部署:大学院委員会
研究体制の整備及び研究活動の活性化により、独創的かつ先進的な研究を創出する。

本学では、キャンパス統合を契機として、研究力の強化も進めていく必要がある。そのため、研究支援部が設置されたことにより、科学研究費補助金の獲得に向けた研究支援体制、産学官連携を通じた特色ある研究や産学官ネットワークの構築、連携プロジェクトを推進する。とりわけ、昨年度より東北大学を主幹校とするMASP(MICHINOKU ACADEMIA STARTUP PLATFORM)に本学が加わったことにより、本学においても、スタートアッププロジェクトやアントレプレナーシップ教育に着手していきたい。2024年度は、その具体的な仕組みの構築と成果を指標とすることとし、計画の見直しを早急に行い、科学研究費補助金申請数及び採択数増加のためのスタートアップ支援等の成果を求める。

TGGV150 No.

B212
産学官連携による共同研究強化
実施主体部署:研究支援部研究支援課
学長のリーダーシップにより、建学の精神を基礎とした学位授与の方針に即した効率的かつ効果的な教育を実施する。

2024年度においては、学年進行で導入している「TG-folio」の利用率を高め、その具体的な運用を開始する年度となる。学部学科においては、学生が学生生活を通じた目標とその過程を綴ることによって、学修成果の可視化を実現させてもらいたい。学生の長所を活かしつつ、休退学予防に努めてもらいたい。

そこで、学修支援課と各学部が連携し、「TG-folio」を学生生活において日常的に利活用できるような支援を実行し、「TG-folio」を活用した学生生活及び学修指導方法及び活用事例を教学改革推進委員会等において報告をしてもらいたい。

TGGV150 No.

B215
学修成果可視化のためのe-Portfolioの構築と運用
実施主体部署:学修支援課
連携協力部署:各学部
学生支援の充実により、学生が安心して入学から卒業までの学生生活を送ることができる。

2024年度は、全国屈指の施設を構えるラーニング・コモンズによる学修支援、学生部による課外活動支援、各部署におけるピアサポートチームの組織化、「TG-folio」」のバッジ機能による支援、高等教育開発室によるデータ分析などを充実させ、学生にとって満足度の高い大学を実現する。2023年度に休退学者対策委員会を設置し、「東北学院大学らしく一人の学生も迷うことなく」入学から卒業まで学修者である学生が安心して学べる体制を実行していただきたい。具体的には、入学オリエンテーション、ウェルカムデー、休退学予防のガイドライン設定、各部局におけるピア・サポートを具体化し、その結果を教学改革推進委員会において報告してもらいたい。

キャンパス統合に伴う大きな変化があったため、第Ⅱ期中期計画の目標設定時点と、現状の目標が整合していない場合には、必要に応じて計画の変更を行うこと。

TGGV150 No.

B217
学生の能力を向上させるための教学支援の体制構築、実行
実施主体部署:ラーニング・コモンズ、情報処理センター、各学部
連携協力部署:学生部、高等教育開発室
1.2 社会貢献
地域の課題解決を図る社会貢献型事業を展開することによって、地域の持続的発展に貢献する。

2024年度は、総務部地域連携課を地域連携部地域連携部として発展させた。これにより、地域連携センター及び地域連携課を中心に、総合ボランティアステーションが2023年度に設置され、2024年度はその成果を求めることとする。

また、2023年度の実行計画においては、学科による学生の正課及び正課外教育における地域フィールドワークを行うことが目標とされていたが、成果の達成には至らなかったことから、目標に掲げた学科においては、計画を着実に実行するだけではなく、次のステップにつながる計画とすることが必要である。

TGGV150のモットーである「地域へ 世界へ よく生きる心が育つ東北学院」の実現に向け実行計画を着実に進めること。

TGGV150 No.

B220
地域の持続的発展に貢献するためのボランティアステーションの体制強化
実施主体部署:地域連携センター
B222
地域連携強化及び地域貢献に繋げるための正課・正課外における地域フィールド ワークの実施
実施主体部署:地域連携課、地域連携センター、各学部
B224
地域社会との共生をめざした企画・運営の検討・実施
実施主体部署:地域連携課、学生課、政策支援IR課
1.3 管理運営
併設高校との高大接続教育の推進

2025年度は併設高校からのTG推薦希望者が急増することが予測され、今年度は東北学院高等学校から多人数の共学1期生が入学することとなる。

これまでも、東北学院高等学校や東北学院榴ケ岡高等学校の生徒に対して、プレカレッジやTGタイムなど、本学の教職員が様々な入学前教育を実施しているが、TG推薦入学の学生には、本学において良きリーダーとして活躍することを期待している。

学長室政策支援IR課及び高等教育開発室においては、両併設高校と連携し各高等学校の生徒に対して、早期の意識づけと、東北学院大学で深く学び、卒業後の進路や就職先を見据えた学部学科の選択ができるよう各学部と連携すること。

また、両校と連携してTG推薦入学者の質の向上を図るよう、政策支援IR課を中心として各学部が協力し、高等教育開発室においては両高校の教員及び生徒等に対して現状を説明し共有すること。

TGGV150 No.

B227
設置校からの入学者の質的向上と定員の確保
実施主体部署:政策支援IR課
連携協力部署:高等教育開発室、各学部
B230
ICT化による会議運営の効率的かつ効果的な運用
実施主体部署:総務課
2. 重点施策
2.1 教育・研究
国際化を推進することにより、グローバル社会に適用する人材を育成する。

2023年度より英語教育センターから教養教育センター外国語教育部門に機能を継承して「英語の東北学院」を支えることになった。2023年度入学生からの学位授与の方針においては「高度な知的活動に必要な汎用的諸技能・能力及び英語力を活用できる」ことが目標とされており、外国語教育センターにおいては、卒業時の「英語力」となる学修成果を設定し、その習得のための教育プログラムの具体的な計画を報告すること。また、留学等支援のために、2024年度より「グローバル教育センター」を設置した。地域で活躍するグローバル人材の育成を含め、設立の趣旨に沿って、2025年度までの計画及び目標を設定し、履行に努めること。

TGGV150 No.

B209
英語力向上のための教育プログラムの見直し、強化
実施主体部署:外国語教育センター
連携協力部署:グローバル教育センター
ICTを活用した教育・学習環境の実現とBYOD(Bring Your Own Device)導入による多様な授業形態の提供

在学生向けサポートサイト、Pocket TGU、履修支援サイト、ITナビ、「TG-folio」など、ICTを活用した、教育・学習環境の整備は毎年度更新され充実が図られている。My TG、LMS(Learning Management System)を活用した学修支援は構築されているものの、学生が扱うICTツールが多様にあることも事実であり、「学生がわかりやすい」改善が必要となってくる。2025年に向けて、次期教務システムの構築が進められているが、これらを解消し、さらには教職員及び学生がスムーズに移行できるよう綿密な計画を示していただきたい。

BYOD授業科目として、LMSを活用した授業も増加し、情報処理センターの教育的役割を活かしてICT(Information and Communication Technology)を活用した教育をさらに高める施策を実行すること。教養教育センター情報・数理教育部門にあっては、その役割からMDASH(リテラシーレベル)の認定者数を増やす方策を策定し、実行すること。

TGGV150 No.

B214
ICTを活用した教育・学習環境の実現とBYOD(Bring Your Own Device)導入による多様な授業形態の提供
実施主体部署:教養教育センター情報・数理教育部門、情報システム課、各学部
学生支援の充実により、学生が安心して入学から卒業までの学生生活を送ることができる。

これまで、給付型奨学金の拡充、心身に関する相談体制及び課外活動支援を強化し、学生の資質・能力を向上させる取り組みを行ってきた。東北学院大学の学びの満足度や学生生活の充実度の向上を目指す施策を講じることとする。具体的には、体育会及び文化団体連合会においては、計画及び目標を立てて活動し、監督及びコーチ等に委嘱状の交付など課外活動支援となる活動を行い、東北学院大学の課外活動による人格形成を進めていきたい。さらに、東北学院大学の課外活動を更なる発展を目指し、「トレフレッチェ(応援団、SWE、チアリーディング)」の位置づけを見直し、学生スポーツのみならず東北学院大学としての課外活動が新型コロナウイルス感染症前よりも活発な活動にしていく。実施主体部署においては、この計画を具体化し、実行まで移してもらいたい。

また、学生が自ら最適な進路・就職の選択ができるよう大学院進学支援、就職支援講座の開設や、オンラインも活用した就職指導などは継続項目とし、活動状況を報告いただきたい。

TGGV150 No.

B218
充実した学生生活を送るための学生支援体制の整備
実施主体部署:学生課、学生健康支援課
B219
学生を最適な進路に導くための就職支援体制の強化
実施主体部署:就職キャリア支援課、教務課(教職課程センター)、学生健康支援課
2.2 社会貢献
生涯の学びの場を提供することによって、地域社会の多様な学修意欲を喚起する。

地域社会の多様な学修意欲を喚起し、本学が持つリソースを活かしたリカレント教育の実装を重点項目としてきた。しかしながら、TGGV150 第Ⅱ期中期計画においては、新型コロナウイルス感染症の影響で事業計画が進められていなかったこともあり、目標への進捗が進んでいない項目である。2021年度から掲げているリカレント教育センター(仮)の設置検討、公開講座の情報等の一元化、幅広い層への公開講座の実施、地域住民等への再就職支援プログラムの実施、広報活動の成果等の具体的な明示を行うこと。リカレント教育としての履修証明プログラムや社会人向けの大学院学位プログラムは、これからの大学に求められる役割の1つでもある。

加えて、学内の研究成果を一般に示すことを目的として、東北学院大学MOOC(massive open online course)の構築と公開は、検討から実行に移すこと。

TGGV150 No.

B223
地域社会の幅広い年齢層に向けたリカレント教育の体制構築
実施主体部署:地域連携課、研究支援課
2.3 管理運営
マーケットエリアの拡大と志願者層の引き上げ

2024年度入試は、東北地方の18歳人口が2023年度入試と比して約3,500名減(文部科学省「学校基本調査(確定値)」)となるなか、総志願者数は13,980名(2023年度:14,488名、昨年度比96.4%)であり、入学者数は2,968名となった。

2024年度入試までは、キャンパス統合と新学部学科設置のみならず、ONE CAMPUSの特性を活かした分野を越えた学びや、東日本スカラシップ選抜導入の相乗効果により、東北学院大学の魅力を発信することで、志願者数の増加と上位層志願者の取り込みが実現できてきた。しかし、2025年度入試においては、TG推薦を含めて年内入学者の1日ガイダンスの実施と、上位層志願者から選ばれる大学となるために、東北学院大学で「なにを学び身につけたか」、学修者が修得できる知識・技能を社会にアピールすることが重要となる。

東北学院大学は、これからも広い地域からの受験生の獲得を目指すとともに、志願者層と入学者のレベルを高めていかなければならない。

そのため、大学案内はリニューアルされたが、それで完遂するわけではない。学科ガイド等の広報物のデザインの統一を進め、各学科における学びの特色を高校生、高等学校教員及び保護者にわかりやすく伝える必要がある。アドミッションズ・オフィス、広報部及び学科が協力して計画を立案し、実行に活かしていただきたい。

また、2024年度中に、新しい入学選抜となる総合型選抜(探究型)及び後期入試の改革等、これからの時代のニーズに対応した入学者選抜方法を提案していただきたい。

これらの施策を行うことで、上位層の受験者を入学まで導くこと、北海道、北関東を含めたマーケットエリアの拡大を目的とした具体的な提案をしていただきたい。

TGGV150 No.

B226
東北地方以外からの志願者数を確保するための広報活動の充実
実施主体部署:アドミッションズ・オフィス
連携協力部署:各学部学科、広報課

TG Grand Vision 150 東北学院中長期計画及び第Ⅱ期中期計画
(2021~2025年度)

TG Grand Vision150東北学院中長期計画及び第Ⅱ期中期計画(2021~2025年度) (PDF:4.9MB)