東北学院大学

学長の部屋

知の探究と人格形成
未来を拓く人材を東北から

東北学院大学 学長 大西 晴樹

熱中と探究のフィールド
アーバン・ワンキャンパス

五橋キャンパスの開学から3年目を迎えました。アーバン・ワンキャンパスのめざした大学像が形となって現れてきていることに誇らしい思いです。

その一つは、利便性の向上により県外の自宅からも通学しやすくなったことが挙げられます。自宅生は卒業後も地元に高い関心を持つ傾向があり、地方創生の観点からも重要な存在です。二つめは物理的・精神的な「居場所」の創出。全学年が一つのキャンパスに集うことで、新入生が数年後の自分を想像でき意欲が向上します。課外活動の参加率も上昇しました。自由度の高い自習施設「ラーニング・コモンズ コラトリエ」は好評で多くの学生が利用しています。今、力を入れているのは、学生が特性を活かしてサポートしあう「ピア・サポーター制度」です。学生生活やIT、文学、国際交流など多彩な分野で活動が活発化。留学生との学生レベルでの交流も深まっています。やりたいことに熱中できる環境が整い、居場所としての機能が高まりました。

文理融合は情報分野を中心に推進しています。1年生は文理を問わず生成AI専門科目を選択でき、6割以上が履修。2022年に文部科学省から「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(MDASH)」の認定を受けており、2026年には全学部で上位レベルの取得をめざします。知を探究するフィールドとして、今後も文理を結ぶ学びを提供していきます。

共創を深め
地域とともに歩む大学

「大学は地域の宝、地域は大学の宝」といわれるように地域連携はとても重要です。都心部に集約したことでより多彩で深まりのある取り組みが可能になり、多くの分野で共創が生まれました。地元商店街や地域の皆さんとともに創りあげる「五橋祭」、近隣小学校の大規模イベントにも利用していただける大ホールのほか、総合ボランティアステーションでは地域のニーズに沿った活動を展開。学問分野では、東京商工リサーチや東北財務局との連携、仙台市教育委員会との連携による英語教育ボランティアなど、さまざまな取り組みが挙げられます。また法人としてはベガルタ仙台との包括連携協定に基づく泉キャンパスの天然芝・人工芝グラウンド整備に加え、大学サッカー部との連携も進行中です。地元プロチームとの協働によって、本学らしく人格形成を伴うチームづくりをめざします。

“第3の波”高度人材育成
知と技術で新たな価値を創出

本学は今、「第3の波」を迎えています。振り返って第1は、3人の校祖が本学のルーツを設立した「ウェスタン・インパクト」の波。第2は「英語の東北学院」として名を馳せた戦後の英語教育の波。そして現在、文理双方から推し進める情報教育による高度人材育成の波。今年度、大学院に開設した「経済データサイエンス専攻(修士課程)」は、社会人も対象とする経済とデータサイエンスのダブルメジャーです。成長分野の学びを掛け合わせて学位を取得でき、卒業後はスペシャリストとして社会の第一線で活躍が見込まれます。2016年に開講した「コミュニティソーシャルワーカー(CSW)スキルアッププログラム」では、新たに経営ビジネスや税理士、公認心理師育成コースもスタートします。さらに2027年にはデジタル技術による地域課題の探究に特化した「未来探究学部(仮称)」の設置を構想中です。課題先進地といわれる東北で新たな価値を創出する人材を育成します。

社会の急激な変化や困難に直面したときも、東北学院は建学の精神を象徴するスクールモットー「LIFE LIGHT LOVE」を変わらず持ち続け、139年の歴史を紡いできました。本学学生はキリスト教による人格教育を受けて人間観と世界観を修得します。限りない可能性の中から自ら道を選び、しなやかに強く社会へ羽ばたいてくれることを願います。

※2027年4月 設置構想中