教育とは、
未来へかける希望
教員養成の歴史と実績を生かし
より専門性高く多様な人材の輩出へ
教育学部教育学科(仮称)創設の目的を教えてください。
本学は1886(明治19)年の創立以来、長きにわたる歴史の中で、戦前から教員養成に取り組んできました。特に2018(平成30)年の文学部教育学科設置以降は、さらに積極的に教育界へ人材を送り出しています。しかし近年、教員不足は社会課題としてクローズアップされるようになりました。教員が足りないということは、未来を担う子どもたちの環境に多大な影響を与えかねません。また教員の指導力を高め、教育の質の向上を図っていくことも重要な課題です。長年教員養成に携わってきた大学としてこの課題に応えるため、文学部教育学科を発展的に独立させる形で教育学部教育学科(仮称)を創設します。
これまで文学部教育学科では、小学校と中学・高校英語の教員免許取得が可能でした。新設学科ではこれに加えて、中学・高校の理科と国語の免許が取得できます。また生涯学習や社会教育への意識が高まる中、教育を広い意味でとらえ社会貢献できる人材育成を目的に、小学校の教員免許に加え学芸員や司書、社会教育主事等の資格取得ができるコースも設置します。
文理融合・文理横断の力を土台に
5つの特徴的なコースで教育に関するキャリアを形成
本学科ならではの学びの特徴はどのようなことですか。
重点を置くポイントは「文理融合」「文理横断」です。現代社会は「知識基盤型社会」といわれます。新しい知識・情報・技術が絶え間なく生まれ、それに対応するための知識と思考力、判断力が求められる社会であるという考え方です。現代社会が抱える課題は多様で複雑化しており、それらを解決に導く力は文系と理系に明確に分けられるものではありません。われわれは幅広くさまざまな「生きる力」を身に付ける必要があります。大学の使命は、多様化・複雑化する社会で総合的な力を発揮する人材の育成であり、その教育を受けた学生が教育者としてさらに次の世代の「生きる力」を育てていきます。教育学部教育学科(仮称)における教育・研究を通して本学の理念が未来へつながっていくことは、希望にほかなりません。
教育とは「人が人を育てる」営みです。目の前の子どもたちの幸せを願い、人としての成長をサポートすることから、教育は始まります。この利他的な考えは、本学の伝統であるキリスト教精神と深く通じます。本学科は、本学の理念を具現化した集大成の一つであるといえます。
具体的なカリキュラムを教えてください。
本学科の特徴は、5つのコースを設定し幅広い選択肢の中から専門性を掘り下げる学びを提供することです。初めの1年は共通カリキュラムで、教育学を究めていくための土台を構築します。こうした学びの中でそれぞれの興味関心や学生自ら描く将来像と照らし合わせ、2年生以降のコース選択を行います。
専門性を高める2年生以降は「児童教育」「国語教育」「理科教育」「英語教育」「教育文化」の特徴ある5コースへ進みます。主に小学校教諭を目指す児童教育コースでは、教科指導への対応は当然ながら、児童の内面の理解や発達への知識、集団生活を送る場としての学級経営などを丁寧に学びます。国語・理科・英語コースはそれぞれの教科に特化した学びを深め、自らの強みを高めていきます。今回国語と理科のコースを設置した背景には、これらの科目の教員を専門的に養成する学科が東北地方に少ない現状があります。
教育文化コースは、学校教育の枠にとどまらない広い視野に立って教育を考えます。人は生まれてから死ぬまで学び続ける生き物です。人生100年時代の昨今、生涯学習・社会教育という視点から世の中に貢献する人材が必要です。
本学の幅広く奥行きのある知的リソースと多様な人材を最大限に生かし、総合大学だからこそ実現できる学びを提供します。
現場での実践を通して
「本当にやりたいこと」を見つける

教員不足の社会課題にどのような解が考えられるでしょうか。
教員不足の背景には、そもそも教員になりたい人の減少と、志半ばで退職する人の増加があります。その課題は大学にどう突き付けられているのでしょうか。
一つは、職業の魅力を伝えきれていないこと。子どもの教育を担うことに対する責任の重さはもちろんありますが、強調したいのは子どもとのかかわりの中で得られる喜びです。教員が自分の教育を通して目の前の子どもたちが成長していく姿、できなかったことができるようになることで生まれる笑顔、それらを一番近くで見守ることができる。これは教員でなければ味わえない感動です。
もう一つはミスマッチ、すなわち「思ったような仕事ではなかった」という失望感です。教員を目指す理由に「子どもが好き」を挙げる学生は少なくありませんが、その多くは、親せきや近所の子と遊んだなど限定的な体験に基づいているため、現場に出て多様な子どもに接し戸惑ってしまいます。
これらを解消する一助として本学では近隣の学校や教育委員会と連携し、学校現場でのインターンやボランティア活動を積極的に取り入れます。また、小学校、中学校、高等学校といった学校現場での教育実習もあります。何度も現場を経験し、さまざまな子どもと接し、実際の多様なケースに現場の教員はどう対応しているのかを学ぶことで、仕事の魅力や大変さ、自分の適性を見極めていくことができます。しかし一つ忘れてならないのは、4年間の課程を修めた時点ではまだ完成形ではなく、あくまで教員としてのスタートラインに立つということです。教員としての力は、現場での子どもたちとの関わりあいと経験を自分のものにしていく中で培われます。大学で養うべきものは知識と技能だけでなく、教員として、さまざまなことを乗り越え自ら成長する力そのものです。
一人一人の子どもの幸せのために
「良い教育とは」をともに考えよう
教員陣の概要と、キャリア形成についてお聞かせください。
教員陣には、従来の教育学科教員はもちろんのこと、小学校を中心に現場経験のある教員、理科、国語、英語を専門とする教員、さらに教育学や心理学、教育哲学、教育史、環境教育等さまざまな専門家が集結します。
卒業後の進路については、小中学校・高等学校の教員、図書館の司書や博物館等の学芸員、地域の社会教育施設等の社会教育主事など、専門性を生かした幅広い就職を想定しています。地域貢献性の高い事業を手掛ける民間企業やNPO法人などにもニーズがあります。
高校生へメッセージをお願いします。
子どもにとって良い教育とは何でしょうか。教育の使命は、一人一人の子どもの幸せを考えることです。学校で教育を受けながら子どもは成長し、やがて自立していきますが、そのとき、幸せをつかむための道具が必要です。道具とは知識、技能、考える力、選びとる力、表現する力。それらの力を子どもの中に育み、「あなたには幸せになる力が備わっているから大丈夫」と次のステップへ送り出してあげることが教育の目標です。どうですか、素晴らしい仕事ではないですか。
日本の教育を良くしたい、子どもたちのために働きたいと考える皆さん、今あなた方の胸にある学びへの期待を私たちは真摯に受け止め、責任を持って応えていきます。夢の実現に向けて一緒に歩んでいきましょう。