東北学院大学

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2011年度 経営学部「おもてなしの経営学」開講シリーズ② 秋保温泉 緑水亭 高橋知子 女将

2011年11月22日

 2011年11月17日の第2回の講義は、秋保温泉「緑水亭」 高橋知子女将に講義いだきました。

(講義要約)

 秋保温泉は仙台市の内陸部に位置し、津波の直接的な被害は受けていませんが、緑水亭は秋保のなかでも一番高い場所にあったことが影響 し、地震の揺れによって旅館施設に大きな被害が出てしまいました。ロビーの柱の損傷、施設外壁の崩落などがあり、地震直後は舞い上がった粉塵によって視界 が奪われるような状況でした。そのようななか、平時の訓練が奏功し、宿泊客や温泉利用客の誘導を速やかに実施し、幸い一人の負傷者も出さずに済みました。
 まず社長を中心に対策室が設置され、宿泊客の食料および避難場所の確保に尽力すること になりましたが、食料については週末前の金曜日であったことが幸いし、多くの食材がストックされており、料理場の陣頭指揮のもとお客様に十分な食事を提供 することができました。ただし、宿泊施設に大きな被害が出たことから就寝場所の確保が問題となり、被害の少なかった宴会場、そして精神的ショックの大きな お客さまにはマイクロバス3台のなかで就寝してもらうことになりました。その後、お客様のご要望に応じ、仙台駅まで送迎したり、公共の避難所への誘導をお こないました。
 次いで、大きな被害を受けた旅館施設の復旧に取り組むことになりましたが、当初は建物 を全て取り壊す必要があると診断され目の前が真っ暗になりました。しかし、建設業者のご協力により、修繕と耐震補強で復旧を目指すことができました。完全 復旧までに約半年かかったことからも、その被害の大きさがお分かりいただけると思います。これを機に食堂の改修も進めるなど、この度、晴れて新生・緑水亭 として再始動することができました。ぜひ一度、新しい施設をご覧いただければ幸いです。
 さらに、秋保温泉は大規模な旅館が多いことから、災害復旧支援隊の一大宿泊地としても 機能しました。緑水亭も施設が大きいことから、比較的大きな都市の警察の宿泊先に指定されました。これまでの旅行客への対応とは異なり、かなりスピーディ かつ機能的な対応を要求されましたので、最初は従業員の間にも戸惑いや迷いがありましたが、結果として、サービス対応に関して新たな経験と知識を得る良い 機会になりました。
 現在、秋保温泉一帯の旅館には、幸いなことに一般のご宿泊・ご宴会のお客様がたくさん 戻ってきております。種々の事情から退職を決めた社員もいるため、いまは従業員の新規雇用の必要性という新たな問題に頭を悩ませております。また、地元・ 宮城の皆様から肯定的そして批判的なご意見をさまざま頂戴しながらも、みやぎ おかみ会のメンバーたちと協力して元気な宮城、元気な仙台を発信するための広報活動にも積極的に取り組んでおります。

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学生達は真剣な様子で講義を受けていました

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秋保温泉「緑水亭」 高橋知子女将