東北学院大学震災の記録プロジェクト「震災と行方不明─曖昧な喪失と受容の物語─」出版報告記者発表会を開催しました
2020年02月27日
東日本大震災の発生から間もなく9年になろうとしている2月25日、土樋キャンパスのホーイ記念館において、教養学部の金菱清教授ゼミナール生が東日本大震災によって家族が行方不明になった方などを対象に行った調査記録をまとめた「震災と行方不明─曖昧な喪失と受容の物語─(新曜社刊)」の出版報告記者発表会が開催されました。
はじめに金菱教授から趣旨説明があり、「生者と死者をはっきり分けることは難しく、生物学的な死とは異なる観点から捉え、行方不明者は生者と死者の中間項に在ると考えました。また、東日本大震災で父親が行方不明になった学生から“父は本当に亡くなったのか? 行方不明者を持つ他の家族はどんな気持ちを抱いているのかを知りたい”という問いかけが、行方不明に関する調査を始めるきっかけとなりました」と述べました。
続いて、「震災と行方不明─曖昧な喪失と受容の物語─」に調査結果が掲載された金菱ゼミナールの松永祐太朗さん、福田浩也さん、雁部那由多さんから、供養のあり方、記憶のコールドスリープ法、感情の消失(行方不明)などについての報告があり、その後は質疑応答の時間が設けられ、記者発表会は終了しました。
生でもない死でもない曖昧な場所に位置する行方不明というデリケートなテーマを扱った「震災と行方不明─曖昧な喪失と受容の物語─」。調査に協力してくださる方に出会えるまでの苦労や、出会えても大きく拒絶されたことがありました。そして、当事者たちが直面している心の葛藤を多角的に捉えたことで、ノンフィクションではあるものの物語性の高い一冊となっています。ぜひご一読ください。
このたびの調査にご協力くださいました多くの方々に深く感謝申し上げます。
「震災と行方不明─曖昧な喪失と受容の物語─」
東北学院大学 震災の記録プロジェクト 金菱清(ゼミナール)編 新曜社刊
2020年3月11日発売
四六判並製 232頁
本体価格 2,300円(税別)
ISBN978-4-7885-1671-7 C1036 ¥2300E
(全国の書店やショッピングサイトなどで発売)
○新曜社 新刊検索サイトはこちら