【経営学部】村山貴俊教授・松岡孝介教授 、Handbook of Tourism Entrepreneurship, Edward Elgar Pub.にTourism SME disaster management: The case of the Great East Japan Earthquake(観光中小企業の災害マネジメント―東日本大震災の事例)を掲載
2024年05月20日
Rob, Hallak and Graig, Lee(eds.), Handbook of Tourism Entrepreneurship (Research Handbooks in Tourism)(観光起業家精神ハンドブック)(観光研究ハンドブック), Edward Elgar Pub, May 2024が公刊され、同著の23章にMurayama, Takatoshi, Brown, Graham & Matsuoka, Kohsuke, Tourism SME disaster management: The case of the Great East Japan Earthquake(観光中小企業の災害マネジメント―東日本大震災の事例)が所収されました(Handbook of Tourism Entrepreneurship (e-elgar.com))。
本著書の編者である南オーストラリア大学のRob Hallak准教授ならびに上掲論文の共著者であるGraham Brown名誉教授とは、長年にわたり東北の観光地を対象にした国際共同研究を進めています。過去に2回、(公財)トランスコスモス財団(公益財団法人トランスコスモス財団 trans-cosmos-zaidan.org)の支援を受けて東北学院大学および東北の観光地において観光振興を考えるシンポジウムを実施し、両教授をゲストスピーカーとして招聘しました。
上掲のHandbookには、観光産業の成長にかかせない中小企業の革新や変革を支える起業家精神を分析した世界の研究者たちの29編の論文が所収されています。経営学部の村山貴俊、松岡孝介の両教授およびGraham Brown名誉教授は、Ch.23 Tourism SME disaster management: The case of the Great East Japanの中で、観光産業の起業家精神に関する国際的な研究動向を踏まえた上で、2011年東日本大震災に関する旅館の女将たちの語りを分析し、不確実性とリスクの高い状況下での社会的ないし人道主義的な起業家精神の発揮、女将たちによる役割の自己組織化、そして行政の支援とネットワークによって沿岸部の被災者の一次・二次避難に貢献したと分析しています。また、そのような女将たちの起業家精神の発揮とそれらを促し支えた仕組みは、同じような災害リスクに直面する日本の他地域、そして世界の他の国や地域の教訓にもなると結論づけています。
なお、村山教授、松岡教授、Hallak准教授およびBrown名誉教授は、宮城県内の観光地を分析した以下のような共同論文も公刊しています。
(宮城県蔵王町の観光地競争力とその持続可能性を分析した論文)
Murayama, T., Brown, G., Hallak, R., & Matsuoka, K. (2022). Tourism destination competitiveness: analysis and strategy of the Miyagi Zaō mountains area, Japan. Sustainability, 14(15), 9124.
(宮城県塩釜市の観光地イメージと観光客の満足度を分析した論文)
Matsuoka, K., Hallak, R., Murayama, T., & Akiike, A. (2017). Examining the effects of perceived quality, value, satisfaction, and destination loyalty in Shiogama, Japan. Tourism Review International, 21(1), 3-16.
教授らは、今後、東北地方(例、石巻市、蔵王町)の観光地競争力や観光イベントの満足度を分析するための国際共同調査を進める計画を立てています。そのような実地調査や観光関連人材の育成に興味がある地方自治体があればぜひお声がけください。我々は、東北地方が抱える諸課題を、グローバルな知識とネットワークを通じて解決することを目指しています。